Vol.19 1999



「COSPA」渋谷店

 渋谷駅から道玄坂を登るのにも疲れた頃に見える雑居ビルの一室。それがコスプレ衣装専門店「COSPA」渋谷店だった。合成皮革や合成繊維からできた石油万歳なコスプレ衣装のほか、手錠・バストパッド・唐傘などなどの小物もしっかり揃っている。アニメに疎くなったし、ゲームに至っては無知と言ってもいい僕には、コスプレ対象となるキャラクターについての知識が無く、何の衣装か分からないものがほとんど。「CCさくら」の等身大バスタオルを淋しく見つめるばかりだった。

 せっかく来たのだから試着してみたいと連れが言い出し、試着室の順番を待つことに。ところが試着室を使用中の男女連れは、やけに多くの衣装を持ち込んでいる上に、御法度のはずの写真撮影もパシャパシャやっている。そういえば女性はやけにケバく、男性は彼女と歳が離れていて人生を悟ったように無表情。我々の脳裏に「イメクラ」という単語が浮かんだのは言うまでもない。

 店内には、その男女連れと僕ら、そして店員の5人のみ。コスプレに風俗が混ざった空気の中、時間だけが淡々と流れて悪い冗談のようだ。コスプレオーダー用テーブルのイスに座り込んだ僕の中には疲労が溜まっていくのだった…。

(NOV/01/99)