ETC. Vol.10



「風をあつめて〜作詞家・松本隆、日本ポップス史を彩る30年の軌跡〜」 (00年5月7日 NHK)
 昨年行なわれたライヴ「風街ミーティング」の映像が中心かと思ったら、松田聖子(落涙パフォーマンスあり)・アグネスチャン・太田裕美・原田真二・山下久美子・南佳孝などをスタジオに呼んで歌わせるなど、松本隆の歴史を追うためしっかり構成された番組だった。彼の作品を実際に聞かせることに重点が置かれていたのが嬉しい。しかもバックの演奏はkyonなどTHE HOBO KING BANDのメンツが中心。CCBまで登場していたけれど、演奏も歌もレコードを流しているだけなのは勘弁してほしかったな…というのは余談だ。

 去年松本隆が一気に再評価された時には、彼の歌謡曲仕事ってそんなにいいかなぁと納得の行かない部分があった。特に曲名にも流用されるサビのフレーズになじめないことが多かったからで、彼が歌手のために生み出すファンタジーの世界は、単語の選択を含め居心地が悪く感じられたのだ。歌謡曲仕事は量産されている分薄い部分も感じるが、しかし番組で流された歌詞の中には鋭い描写がいくつもあったし、結局彼が「風街」に住んでいた頃のはっぴいえんど作品を僕は愛し過ぎているのだろう。松本隆本人はずっと「風街」の住人なのだろうし、僕は表面的な差異にこだわっているだけなのかもしれないけれど、喉の乾きに苦しみながら言葉を吐くかのような雰囲気は、はっぴいえんど以降には感じられないんだよな。そんなわけで、ロックに日本語を乗せるイノベーターとして、そしてその当時の彼の詩人としての存在はやっぱりでかいと再確認させられたわけだ。

 最後に流れた「風街ミーティング」の映像で、松本隆・細野晴臣・鈴木茂などに囲まれて中村一義が「風をあつめて」を歌っていたのは、はっぴいえんどの作品が若者に継承されていくことを端的に象徴しているように感じられた。ただでさえ若い中村一義があのメンツに囲まれると、少年のように見えたのだ。

(MAY/15/00)