ETC. Vol.3



「終わらない結末」 〜元はっぴいえんどメンバーの97年
 元はっぴえんどのメンバーの最近の活動となると、やはりこの人から話を始めなきゃならないでしょうね。13年ぶりのシングルが、「ラヴジェネレーション」の主題歌になっていきなり初登場第2位になってしまった大瀧詠一。今年夏頃にレコーディングしたものの、発売未定でファンの気をもましていた新曲が、こんな形で華々しく登場となりました。上手いもんですねぇ。あまりにも以前のまんまのサウンドには評価が分かれるところでしょうが、まぁリハビリということで。「幸せな結末」「HAPPY ENDで始めよう」という人を食ったタイトルからして、彼らしいですし。

 その大瀧の最近の遊び場といったらインターネットです。彼の公式ホームページでは、もはやご隠居の道楽といった感じの遊びに満ちています。あまり甘やかすとまた仕事をしなくなりそうで心配ですが。

 ちなみに新曲のレコーディングの模様は、音楽評論家の能地裕子が自身のページでリポートしていました。一堂に会した大物スタジオミュージシャンに混ざって、サニーデイ・サービスの連中が遊びに来てたのは「いかにも」ですね。


 さて、活発な活動を続けているものの、最近はどうも仙人イメージが付きまとっていたのが細野晴臣。96年の越美晴との「スウィング・スロー」に続いて、今年は森高千里の「ミラクルライト」のプロデュースで、ポップ畑への本格復帰となりました。聞き物はカップリング「ミラクルウーマン」で、「ミラクルライト」のダブ・ヴァージョン。もう無法状態で、細野御大のベースも満喫できます。実はこの細野ベース&森高ドラムのリズム隊、今年になってからテイトウワやチャラのレコーディングでも大活躍なんだから、世の中どう転ぶかわからないという見本のようなものですね。齢50を越えてもこんなサウンドを作れる感覚は、さすがと言うしかありません。
 ただこのシングル、森高のシングル攻勢の谷間にはまってしまい、あまり売れなかったようなのは残念ですが…。

 細野御代も公式ページを持っています。パラノイアのようなデータ量に加え、ローソンのCM撮りの合間に森高と撮ったビデオなども置かれていて、未だ尽きないミーハー魂を見せ付けてくれます。

 また、今年公開された映画「タイタニック」と関連して、彼の祖父の正文氏がタイタニック号に乗っていたことも話題になりました。彼は日本人として唯一の生き残りだったのですが、生存者の1人が「避難用ボートに割り込んできた日本人がいた」と書いたことから、帰国後に激しい非難にさらされたとか。しかし、正文氏の死後発見された手記と当時の記録を照らし合わせた結果、「割り込んできた日本人」とは実は中国人で、正文氏の潔白が証明されたというのです。この話題は、読売新聞やサンデー毎日、週刊文春など多くのメディアで取り上げられていました。
 ちなみに、どこでも細野の肩書きは「元YMO」で、「元エイプリルフール」「元はっぴいえんど」「元FOE」「元HIS」などと書いたメディアはありませんでした。当たり前と言えば当たり前ですが。


 昨年の旧譜アナログ再発に続いて、今年も中村一義を始めとするセッションに引っ張りだこだった鈴木茂。もちろん大瀧詠一のセッションにも参加していました。
 今年は新バンド「鈴木茂&PMV」でアルバムを発売。でもAORっぽいらしいんで、尖った耳を欲しがる若造にはチト辛そうですが。


 山下達郎とのコンビで、Kinki Kidsの「硝子の少年」をヒットさせたのは松本隆。最近では「INTERNET MAGAZINE」で、「松本隆の電脳遊園地」なる連載を始めました。技術監修は別の人が付いてるのですが、パソコンの自作から始まって、自分のサーバーを運営するなど、内容はなかなか高度です。
 ちなみに彼のファンが作っている「松本隆作品鑑賞事典」では、彼の作品リストに加え、「硝子の少年」の徹底分析が読めますよ。


 ところで、こう見てみると、はっぴいえんどの元メンバーって結構電脳派なんですよね。レコード会社を始めとする音楽産業の様々な抑圧と長年闘ってきた彼らにすれば、好きなことを無制限に出来るインターネットというメディアは非常に魅力的であろうことは想像に難しくありません。そして、目新しいものに飛びつく彼らのミーハー精神こそ、今も僕らに彼らの作品を待たせる魅力のひとつなのかもしれませんね。

(JAN/20/98)

(この文章は、はっぴいえんど&はちみつぱいの同人誌『はっぴいえんど・はちみつぱい』に寄稿したものです。)