CD REVIEW Vol.30 (side B) JUN/1999



The Dirty Dozen Brass Band "Buck Jump" (Mammoth)
 ニューオリンズのブラス・バンドの新作。管楽器のゴリゴリした音色は、渋いながらも余裕と艶が溢れている。ダミ声のボーカルの入るカリブ風味の「Run Joe」や、不安定感が漂いつつもバラけることのない「Duff」など、どの曲も聴き手に迫りっぱなし。ソロと他のパートが拮抗し合う瞬間のスリルもたまらない。最高。



SWAY "RETAIN" (WATERCOLOR ENTERPRIZE)
 手にしてもすぐには聴くことができなかったのは、前作「ほろ馬車」以来実に5年ぶりのアルバムだったため。メンバーも、堀部雅子に代わって加入した丸尾めぐみと、杉山加奈との2人に変わった。かつてのSWAYが生み出した息の詰まるような瞬間はここには記録されていないけれど、彼女たちの生活から歌われるべき必然性を持っていた曲たちが収められている。おもちゃの楽器を使った「Favorite Puzzle」や、丸尾めぐみが作詞作曲した「ひとりとふたり」は、まさに新生SWAYという印象。肩の力が抜けた優しい歌たちの中で、切ない「港スクリーン」が強く沁みてきた。



THE FLAMING LIPS "The Soft Bulletin" (Waner Bros.)
 微妙な不安定さが逆に気持ちいいキーボード音に導かれて始まる「Race for the Prize」からして素晴らしいメロディー。架空の映画のサントラ仕立てのアルバムであるがゆえに、クラッシックぽく歌い上げる部分もあるのだが、サウンド自体はローファイなんて言葉を久しぶりに思い出してしまうほど大粒だ。「The Gash」では、ゴスペルっぽさにハッタリが効いてます。でもそうした音の隙間が、卓越したソングライティングとともにイメージを広げていく曲揃い。



"ギターポップジャンボリー 〜マスターピース" (EPIC)
 宮子和眞監修による、80年代ギターポップの編集盤。クリエイションの音源が中心だ。実はこの辺ってリアルタイムであまり聴いてないんだが、その分下手さと背中合わせの瑞々しさが新鮮だった。

 PRIMAL SCREAM、VELVET CRUSH、TEENAGE FANCLUBなど17曲が並んでいても全部同じに聞こえることもなく、何の理屈もなく楽しめる。特に気に入ったのは、臆面も無くノスタルジックなPACIFICの「BARNOON HILL」。「家族と友人たちへ/たとえ月日が流れ去っても/熱い浜辺で時を過ごすように/僕たちが暮らしていくことを想いをこめて」という語りが、いきなり日本語で入っていた。

 THE LILAC TIME、NICK HEYWARD、RODDY FRAME、そしてPREFAB SPROUTへと続いていく終盤の構成も心憎い。