CD REVIEW Vol.28 (side B) APR/1999



PIZZICATO FIVE "darlin' of discotheque e.p." (*********)
 銀メラ変形ジャケットで5曲約30分収録。最近のピチカートには感情移入ができそうな歌が増えてる気がしたけど、ここでは情感は抑え目にしてディスコディスコディスコだ。シタールとストリングスが厚い雲を生み出しそうなタイトル曲のサウンドだけ聴いたら、いつの時代のどこの国の音楽か判断不能と思われる。踊るためなんだか芸術なんだか、もはや分からないサンプリングが痛快。「シェリーにくちづけ」と「jolly bubly lovely」は従来通りの路線のポップ・サウンドで、ピチカート・マニア初心者への配慮も忘れていない。



Clingon "cliff and wagon" (Aja)
 大阪出身の4人組バンド。70年代の音楽の匂いがプンプンしていて、その吸収と表出のバランスが絶妙だ。ボーカルの歌い回しと、ジャジーなキーボードが耳に引っ掛かる。身体にしっくりくる古着のような音楽で、とても僕と同い年くらいの人たちとは思えないほど。でも、その安定感が良くも悪くも前に出すぎてる印象があるのも事実だ。



Femi Kuti "shoki shoki" (Barclay)
 Fela Kutiの息子もナイジェリアから世界へ。親父ほど闇雲なパワーと粘りが無い代わりに、適度な軽さと抑えた熱さで攻めてくる。あんまりにもソウルっぽい「what will tomorrow bring」は苦手だけど、「beng beng beng」などで複雑なリズムがすごく丁寧なプログラミングで処理されているのには耳を奪われた。



"The Music of Japan : THE ROUGH GUIDE" (World Music Network)
 Paul Fisherの編集による、日本の伝統を継承する音楽のオムニバス盤。この手の音楽は聴いてる方だと思っていたけど、収録された19曲のうち半分近くは知らないアーティストだ。

 国本武春→河内屋菊水丸→ソウルフラワーモノノケサミットという頭の3連発から強烈だし、伊藤多喜雄・平安隆・琵琶の後藤幸浩・大工哲弘・ネーネーズの吉田康子・大熊亘のシカラムータといったチョイスは、相当のマニアの所業で驚かされた。お見事。演歌はないけれど、尺八や津軽三味線を収録しているほか、バナナの叩き売りも。木製楽器・トンコリを使った、アイヌのオキの音楽はとても美しい。あとは喜納昌吉が入っていれば…と思ったけど、久保田麻琴と夕焼け楽団の「ハイサイおじさん」もあるし、元チャンプルーズの長間孝雄率いるアヤメ・バンドも入っているなど、ちゃんと配慮されているのが心憎い。

 Paul Fisherは沖縄在住らしく、安場淳&アンチャン・プロジェクトや、ザ・サーフ・チャンプラーズなど、まだまだ無名である沖縄のバンドも収録している。琴の楽曲にしても、わざわざ琴4人組のコト・ヴォルテックスを選んでる辺りに愛情と熱意がうかがえて感動ものだった。