CD REVIEW Vol.28 (side A) APR/1999



DE ANDRE "MI INNAMORAVO DI TUTTO" (RICORDI)
 「DE ANDRE」名義なのはなぜなのか分からないけれど、ともかくイタリアのファブリッツオ・デ・アンドレの編集盤。ずいぶんとエレキギターの音が古めかしいと思ったら、70年代から90年代までの音源を集めていた。地中海音楽路線の前には、けっこう普通のカンツオーネっぽい曲もあって、翳がありながらも躍動的でアイデアに溢れたポップスを生み出していたことが分かる。彼の長いキャリアの俯瞰には便利。



de andre "in concert" (RICORDI)
 こちらは97・98年のライヴ音源。大傑作「地中海への道程」の1曲目「creuza de ma」で始まる時点で興奮してしまう。「dolcenera」のコーラスひとつとっても、地中海音楽の要素を取り入れていて、鳥肌が立ちそうだ。ギターの弾き語りでは、渋みと硬さが同居する彼の声を満喫できる。歌だけで引っ張っていくことも可能な、見事な力量だ。ミックスのせいかバックの迫力が足りないけれど、様々な楽器の音色が入り混じる彼の音楽は、かなり忠実に再現されている。よく耳を傾ければ、ゆったりとしていながらも、常に微かな緊迫感が漂っていた。



THE WILD MAGNOLIAS "LIFE IS CARNIVAL" (METRO BLUE)
 何十年煮込んだのかと問いたくなるような、グツグツ煮えたぎるニューオリンズ汁の大洪水。特にリズム隊から濃い汁が流れてくる。ギターもクチャクチャ鳴ってて要注意。曲の頭でとりあえず皆で盛り上がり、お調子者そうなボーカルが歌い出したなら、楽しむより他に道は無い。ハードにして明快。スピードが落ちても粘りは落ちず、DR.JOHNとのデュエットでは掻き回された納豆状態だ。派手な衣装に身を包んでも、心はいつでも裸一貫。でも、最期になって安い打ち込みが出てくるのは減点だった。



THE OLIVIA TREMOR CONTROL "black foliage volume 1" (FLYDADDY)
 歪んだ音世界に花咲くポップス黄金律。途中でラッパばっかりになったり、何事も無かったかのように爽やかなナンバーに戻ったり、ヨレたような正気なようなバンドだ。ビーチボーイズ風のコーラスで「僕たちマニアです!」宣言も忘れないが、授業中に貧乏ゆすりをし続ける生徒のように落ち着かない。音響派としても職人的ポップス派としても、異端として損をしそうなポジションにいるが、欲求を抑える前にまずは実験してみてみようという姿勢には好感。果敢なまでの酔狂ぶりで好き勝手やった挙句、最後の最後でラララ〜と歌われるとすべてを許してしまうしかないよなぁ。そんな調子で、27曲入り約70分。FRANK ZAPPAをちょっと連想した、と言ったら怒られるのか。