Vol.22 (side B) OCT/1998



DJ SPOOKY "RIDDIM WARFARE" (OUTPOST)
 DJのアルバムは、ターンターブルからはみ出す部分の多いものほど面白い。ワイルドさと知性を併せ持ったこのアルバムは、いろんな物がはみ出すことビッグマックのごとし。

 ラップにアブストラクトにドラムンベースとかはお約束の範疇だと思うけど、Arto LindsayとブラジルのNacao Zumbiが激突する「Quilombo Ex Optico」のような、何でこんなことやろうとしたんだ?ってくらい異色のトラックまである。フリージャズみたいな「Roman Planetaire」もあれば、「Dialectical Transformation 3」にはSONIC YOUTHのThurston Mooreが参加。ここまで来ると、DJ SPOOKYのDJにとどまらないミュージシャン的な資質が浮き彫りになってくる。

 ただ、日本人が歌ってるエセ・エキゾチカ「Twilight Fugue」で幕を閉じるのは心中複雑。これ、マジでやってたら嫌だなぁ。



Bloque "Bloque" (Luaka Bop)
 コロンビアのロック。8人組バンドによるまごうことなきロックだ。民俗楽器が入ってるし、独特の言葉の響きもエキゾチックではあるけれど、彼らはそんなものに頼ってなんかいない。強力なリズムは様々に変化して、「Descarga」の狂騒を生み出す。熱く泥臭い一方で、まさにカリブ的な美しいメロディーも顔をだしていて、優れて汎カリブ的な音楽だ。ブラスもブイブイ鳴ってて武骨だけど、アレンジは細部にまで神経の行き届いている。数曲で聴ける女性ボーカルも下世話でいい感じだ。

 そりゃロックとしては野暮ったい部分もなくはないが、小理屈抜きで興奮してしまう熱気が充満してるんだよ。カリブやブラジル方面の音楽ファンはもちろん、ワールドミュージックという懐かしい言葉を覚えている人々、これを聴かずに何を聴く。



はっぴいえんど "はっぴいえんどLIVE ON STAGE" (URC)
 70〜71年のライヴ音源で、必然的に「ゆでめん」の曲が多い。ライヴが下手だ下手だと言われたきた彼らだけど、実際は意外と聞かせるじゃないか。緻密ではないが自由さがあって、ソリッドではないがワイルドだ。

 「ももんが」は「暗闇坂むささび変化」の元になった曲で、その違いが面白い。他にもアレンジ違いの曲もあるし、時々ボーカルとコーラスで歌詞が違ってたりする部分も含めて楽しめる。はっぴいえんどって、今や日本ロックの博物館にある感じだけど、やっぱ当時は肉体感のあるバンドだったんだよなーと再確認。アンコールを求めて盛り上がってる客のリアクションも収録されていて、当時の受け入れられ方もおぼろげながら分かるという具合だ。

 ところで今回の再発は、紙ジャケットに、D盤面のアナログ盤風プリント、CDが入ってるのもレコード用とそっくりのビニール袋という凝り方だ。採算無視(?)のマニアックさが素晴らしい。同時に発売された「ゆでめん」と「風街ろまん」も、旧盤を持っていたのに買い直してしまった。



GREAT 3 "WITHOUT ONION" (東芝EMI)
 フルートとウッド・ベースで始まる「Sabbaath」を聴いた時には、思わず「結晶」の頃の オリジナルラヴを連想した。意図的な古い音の使い方が新鮮な「Golf」には不思議なときめきさえ感じて、切なくなってしまう。サントラを模した「WHITHOUT ONION」が異常に本格的に聞こえるのは、何か騙されてるのかも? 立花ハジメを迎えた「Whopper Goo!」は、まさにプラスティックス。ひたむきに走り続けていくような「Tree Top Shine」のドラム・アレンジもカッコいい。モコッとした音質や、音像の定位の工夫も効果的だ。

 ボサノヴァやジャズファンクなどの様々な音像を纏っても、芯の硬さを感じさせるサウンドにはエネルギーがうねっていて、まさにロック。こんなアルバム、久し振りに聴いたかもしれない。