Vol.13 (side A) JAN/1998



CARTOLA "AO VIVO" (RGE)
 渋谷HMVのバーゲンで、500円で買ったCD・その1。

 カルトーラはブラジルのサンバの巨匠、すでに他界している。このアルバムは70年代のアルバムの再発盤で、ライブ録音のようだ。

 聴いて驚いたのは、僕が持っている彼の他のアルバムとは違って、このアルバムには打楽器が一切入っていないこと。しかしそんなこととは関係無く、ギターやバンジョーをはじめとした最小限の伴奏と唄による、穏やかにして艶のあるサンバが楽しめる。品のある陽気さに哀愁が少々加えられ、陽の当たる草木が風に揺れているように心地いい。暑さ知らずって感じだ。タイコを叩くだけがサンバじゃないと教えてくれるアルバム。



Runa Laila "Uthali Pathali" (F.M.INTERNATIONAL)
 渋谷HMVのバーゲンで、500円で買ったCD・その2。

 何年か前、国外で暮らすバングラディッシュ人向けのCDがアメリカで制作され、東浦和の会社経由で流通して、コアなアジア音楽ファンの間で話題になったことがある。話題といっても、全国で数百人単位という狭いフィールドの中での話だが。

 僕はその当時、別のバングラディッシュ歌手のCDを買ったのだが、同時期に発売されていたのがこのアルバム。打ち込み主体のバックに、伝統音楽度の高いメロディーがこってりとしたコブシで歌われる。音楽的にはやはりインドの歌謡曲にかなり似ていて、笛やタブラなどアクセントとなる楽器も共通。お世辞にも厚いサウンドとは言えないが、打ち込みと民俗楽器(サンプリング?)を上手く組み合わせた丁寧な作りだ。ヴォーカルの巧さもあって、アルバム後半のスローな曲もなかなか聴かせる。

 ケチらずに、こっちも当時買っときゃよかったな。



"TITINA CHANTE SINGS CANTA B.LEZA" (POUR DOMINIQUE)
 渋谷HMVのバーゲンで、500円で買ったCD・その3。

 ジャケットの「ガーボ・ヴェルテ」の文字に惹かれて買ったのだが、よく考えたら、同じガーボ・ヴェルテのセザーリア・エヴォーラを聴いたことがあったことを思い出した。アフリカのセネガル沖に浮かぶガーボ・ヴェルテはかつてポルトガルの植民地で、その影響を色濃く残したのがモルナという音楽。このアルバムもそうした音楽のようで、B.LEZAという作曲家の作品をTITINAが歌ったものらしい。

 一聴するとブラジル音楽かと思うようなリズムやメロディーだが、より哀愁が強い感じ。ポルトガルの音楽・ファドに近い感触もある。アーコースティック主体の演奏もなかなかよく、管楽器とストリングスにヴォーカルが絡まる瞬間などはかなりの濃密度だ。歴史に育まれ熟成したことを感じさせる音楽。



HOA TIM NGAY XUA "TIENG HAT MY HUYEN" (THUY ANH)
 渋谷HMVのバーゲンで、500円で買ったCD・その4。

 アメリカには海外に亡命したヴェトナム人のコミュニティーがあり、そこの会社から在外ヴェトナム人向けのCDが発売されている。ちなみに亡命カンボジア人によるCDも、アメリカやオーストラリアのコミュニティーからかなりの数が発売されていた。

 94年作のこのアルバムは、打ち込みというかキーボード主体のサウンド。ストリングはもちろん、笛や琴などの伝統的な音色はみなサンプリングだと思われるが、全体としてはなかなかよく出来ていて、苦心の跡がうかがえる。

 冒頭からスローテンポでかましてくるのはヴォーカルへの自信の表われかとも思ったが、実はアルバム全体がスローナンバーてんこ盛り。ヴェトナム語独特の抑揚と相まって、ゆったりとしたヴェトナム情緒に包まれてしまった。聴き続けていたら、時間感覚が狂ってしまいそうだ。