Vol.14 2000



村上隆キュレーション「SUPER FLAT展」 (00年5月24日 渋谷パルコギャラリー)
 入場料を払っていざ視線を会場内に向けると、どこから見たらいいのかわからないほどマテリアルが溢れ返った空間が。そして会場内を歩き始めてすぐに浮き上がってきたのは、「スーパーフラット」という概念に必ずしもそぐわない作品が多い、というかむしろ関係ない作品の方が多いのではないかという違和感だった。どうも村上隆は日本の文化状況をスーパーフラットと定義した上で、そこから彼の考える日本のオリジナリティーを持つアーティストを選出したようで、そのため展示された作品は必ずしもスーパーフラット的要素を持っていないらしい。だからこそ、個々の作品は見たことがあるものが多くても、床から天井近くまで展示された作品群の混沌とした配置そのものに、会場に身を置いた僕は最も視覚的なインパクトを受けのだろう。村上隆が以前から語ってきた日本のアートを取り巻くマーケットの構造的欠陥に対抗するための「興行」としては、たしかに楽しめるものではあった。

 惜しむらくは、そういう概念を語る村上隆自身の言葉は極めて意味がわかりづらいことだ。それを理解するために役立つのが、今回のイベントに合わせて発売された「SUPER FLAT」ビジュアルブック。日本美術の伝統を受け継ぐものとしてスーパーフラットの概念が解説され、マンガやアニメなどのサブカルチャー作品と日本美術との対比などもあるので、展示を見て消化不良気味だった気分を解消するには有効だ。

 そして「SUPER FLAT」ビジュアルブックを読んでいると、青島千穂の作品は村上隆以上にスパーフラットの概念に近いのではないかと思われてくる。けれど彼女の展示の紹介文には、絵のデータ出力のために巨大プリンタを提供しているCanonの文字があったわけで、そこにも村上隆の戦略がしっかりと存在していることを再確認させられることになったのだ。

(JUN/12/00)