Vol.13 2000



有限会社コミケット主催「緊急シンポジウム 表現と著作権を考える」
(00年2月6日 東京ビッグサイト国際会議場)
 第一部が著作権と引用、第二部がパロディと著作権をテーマにしたシンポジウム。司会は米沢嘉博、パネラーが夏目房之介・村上知彦・高取英・いしかわじゅん・竹熊健太郎・とり・みき・高河ゆんと大物揃いだった。

 引用に関しては、この問題に詳しい夏目房之介と竹熊健太郎が話をリード。マンガを引用する場合の使用料は根拠のない慣例によって決められていて、コピーライトの表示も単なる慣例に過ぎず実は意味がないという話には驚かされる。個人経営よりもプロダクションとしてスタッフを抱えている作家の場合の方が問題がこじれやすいとか、作家本人よりも業者の利益の主張のために問題化することが多いなどの業界の構造的な問題のほか、自分の知らないところで引用されることに我慢できない作家にありがちな自意識も指摘されていた。話題は多岐にのぼったたが、「批評や研究が目的であること」「出所が明示されていること」「本来の形をとどめていること」「本文が主であり引用部分があくまで従であること」という注意すべき4点がわりとすんなりと提示され、第一部は順調に終了。

 煮え切らない印象を残したのは第二部だ。フランスでは法律でパロディーが認められているという話題から、パロディーとは何かという根本的な問題が語られ、では単にキャラクターを借りているだけの作品は本当にパロディーと言えるのかという問題が浮上した。どちらにせよ、同人誌の販売も対価を得る商業行為である以上は自己責任の自覚が欲しいという意見は多くのパネラーから出されたものの、完全なるオリジナルなどというものはない以上パロディーも文化のひとつの伝承形態ではないかとの意見も。「つまらないオリジナルより面白いパロディー」という米沢嘉博の発言に、いしかわじゅんがシンポジウムの進行方法を含めて異を唱える一幕もあった。

 今回のシンポジウムの目的を端的に表現していたのは、「表現の場としてコミケが自由を提供する代わりに、作品についての責任は各参加者が持って欲しい」という趣旨の米沢嘉博の発言だろう。それならシンポジウムという形式を取らなくてもコミケットからのメッセージとして前面に打ち出した方が効果的であったかもしれない。同人誌を描いている側と思われる人々も会場には多かったけれど、パロディーを描いてる参加者全体からみればわずかな割合に過ぎないわけだし、今後のコミケットの参加者へのアピール方法にはさらに工夫が必要になるだろう。

(FEB/28/00)