Vol.5 1998



切通理作セミナー「サブカルチャーを解題する」
(98年3月5・12・19日 中野ZEROホール)
 切通理作は、「怪獣使いと少年」「お前がセカイを殺したいなら」「僕の命を救ってくれなかったエヴァへ」などの著書を持つ、おたく文化に造詣の深い評論家。彼のセミナー「サブカルチャーを解題する」の会場である中野ZEROホールは100人弱を収容する小ホールで、けっこう人が入っていた。僕は第3回から参加。

 3月5日の第3回のテーマは 「宮崎駿と高畑勲」で、COMIC BOX 編集部の人がゲスト。内容はやはり宮崎駿中心で、ヒューマニストあるいはエコロジストといった、一般的な宮崎駿への評価に囚われずに彼の作品と姿勢を分析していた。個人的には、「もののけ姫」と「風の谷のナウシカ」マンガ版のテーマの共通性に触れた部分が興味深く、今まで漠然と感じていたことをはっきりと言語化してくれたのが嬉しかった。

 3月12日は「エヴァVSラブ&ポップ」と題して、「僕の命を救ってくれなかったエヴァへ」でも切通と対談していた宮崎哲弥を迎えてのトーク。話の大部分はエヴァについてで、オウムや酒鬼薔薇などの社会問題とエヴァの同時代性を中心に語った本での対談とは違い、むしろエヴァの作品世界の分析が中心となった。少年によるナイフ傷害事件の話題をエヴァに絡めて展開していくのではないかと予想していたのでこれは意外だったが、2人がエヴァに惹かれた理由が伝わってくる点で、個人的には本よりもこの日の対談の方が素直に楽しめた。

 最終回である3月19日はゾロアスター教研究者である松井不二夫がゲストで、ウルトラマンティガの話題が中心だった。松井不二夫が登場するのは第2回に続いてこれが2回目だったが、その時に出席していなかった僕はゾロアスター教やグノーシス思想についての基礎知識も無く、しかも前半は特撮やアニメなどにも話題が飛んだために話題の主軸がつかめなくて困った。もっとも、ウルトラマンティガに話題を絞った後半は講師陣のテンションも上がり、ティガを見ていなかった僕もレンタル屋でビデオを借りてこようという気にさせられた。

 一方で、「宝島30」や「SPA!」誌上でのトラブルがもとで切通と対立関係にある宅八郎が、第4回以外は毎回やって来たり、最終回にいたっては、警備員が走り、パトカーが乗り付け、30分近くも中断するという突発的な事態も起きたりで、いろいろと緊張感のあるイベントでもあった。また、精神世界やアニメに詳しく、「僕の命を救ってくれなかったエヴァへ」にも参加した頭脳警察のPANTAが最終回に来場していたのにも驚かされた。

 ともあれ、セミナー全体としては非常に濃いオタク&サブカルネタを満喫できた。対象を漫然と受け入れるだけでは知り得ない領域があり、それを知るためには自分の知識とセンスを鍛え上げていくしかない。当たり前のことだけど、僕なんてまだまだだと思い知らされてしまった。

(MAR/27/98)