Vol.3 1997



COMITIA 42 (97年11月24日 東京流通センター)
 コミティアは創作オンリーの同人誌即売会。つまり同人誌の王道であるアニパロは禁止で、純粋なオリジナル作品のためのイベントなのだ。東京で年に4回開催されるほか、関西・名古屋・新潟などでも開催されている。今回はモノレールに乗って行く東京流通センターが会場で、約1000サークルがスペースを構えていた。

 最大手のコミックマーケット(通称コミケ)が、極度の昂揚をもたらす祝祭空間を生み出すイベントだとしたら、コミティアはそれよりは落ち着いた、オリジナリティーと作家性重視のイベントだ。コミケの規模とはとても比べ物にならないけれど、自己表現衝動に溢れたマンガを純粋に求めるなら、コミケよりもコミティアの方が魅力的だと言えるかもしれない。アニパロがないにせよ、同人世界のお約束でエロ系のサークルもあるのだが、それでも他の同人誌即売会とはかなり違った雰囲気なのだ。

 今回買った本は20冊弱で、決して多くはない。すべてのサークルをチェックするのは不可能だという理由もあるが、一定の画力とストーリーテリングの能力を持ち併せた作家となると、ほんの一握りというのが実状だ。

 しかしその中には、メジャーで仕事が出来ないのが不条理なほど実力がある作家がいるのも事実。そうした作家たちにとって、あえて創作作品のみを求める買い手が来場するコミティアという場は、大きな意味を持っているだろう。また、かつては商業誌で活躍したものの同人活動に戻った作家や、商業誌と同人誌の活動を両立する作家など、その活動スタイルも様々。そうした状況自体はコミケットなどの他の同人誌即売会も同じだが、コミティアはすべてが創作作品であるという点で、ある種のひたむきさを感じさせる…と言ったら、ロマンチスト気味だろうか?しかしコミティアには、大きなすそ野を持つはずの日本のマンガ文化の中で、不幸にも商業分野からこぼれ落ちてしまったものが確かに存在すると思うのだ。

 そうしたコミティアの独自性は、実行委員会の姿勢にも表れている。実行委員会が発行するパンフレット「ティアズマガジン」には、お勧めサークルの紹介もあり、表現の水準を上げようとする意欲を感じさせてくれるのだ。実行委員会にどうも不安定な印象があるコミケットにくらべ、実行委員会の顔が見えるという点もコミティアの魅力のひとつかもしれない。

 日頃手にする商業誌のマンガに飽き足らず、また日本を代表する文化イベントとなったコミケットとも違ったマンガ文化の現状に興味があるなら、ぜひ一度は見て欲しいイベントだ。極限状態と背中合わせのコミケットほど混雑もしていないので、初心者も安心。

(DEC/17/97)