since 14/DEC/96
 
小心者の杖日記
 
ロゴデザイン BY ゴー
 
331日 (tue)

 1ヶ月ぶりに地下水道を更新、23サイトを追加。気づくと1周年を迎え、アクセスも15万を越えてしまった。当初の「極私的使用目的リンク集」という副題の通り、僕の全く個人的な趣味で作成したリンク集で、それがここまで受けるとは予想もしていなかった。現在では何サイトを登録しているのかも自分で分からないほど増殖してしまい、1ページで70KBという異常な重さになってしまったが、そんな状態にもめげずにアクセスしてくださる皆さんに感謝。この問題を解決するため、フレーム化を以前から検討してはいるのだが、すべてのリンクに「target="_top"」というタグを入れなければならないのがネックになって放置中だ。あと、サブカル系はもう少しジャンル分けしたいなぁ…などなど、構想だけはいろいろとあるのだが、結局このまま無計画な増築を繰り返してしまいそうです。


 
330日 (mon)

 5月2日に発売されるムーンライダーズ「ANTHOLOGY 1976-1996」「かしぶち哲郎 SONNGBOOK」のサンプル盤が届いた。実は、7月に発売されるムーンライダーズの公式本に僕もライターで参加させてもらえることになり、その役得でサンプル盤をいただいたのだ。

 マニアの受難でも紹介したように、「ANTHOLOGY 1976-1996」のジャケットは貞本義行によるもの。しかも、オリジナルアルバムでは聴けない曲が全36曲中9曲を占めるている。同時に代表曲網羅で初心者も安心なのだから、まさにマニアの所業といった感じの編集盤だ。

 「かしぶち哲郎 SONNGBOOK」は、その名の通りかしぶち哲郎の楽曲を集めたもの。一見穏健そうな彼だが、音楽では無国籍でエッチな世界が全開だ。「DON'T TRUST OVER THIRTY」にインストとして収録されていた「CLINIKA」のヴォーカル入りヴァージョンは衝撃的で、こんな曲だったのかと何度も聴いてしまった。

 ライーダーズといえば、大島弓子の「綿の国星」のイメージアルバムが今月再発された。ジャケット画像はこちら。鈴木慶一がプロデュース、ムーンライダーズがソングライティングと演奏、松尾清憲がヴォーカルを担当している。しかも全作詞は大島弓子自身。80年に発売されて以来CD化されていなかったアルバムで、ながらくライダーズ・マニア垂涎の1枚だった。今聴くともろにニューウェーヴ的なサウンドがツラい面もあるが、作曲したメンバーの個性がそれぞれ色濃く出ていて面白いし、そもそも内容が悪いわけがない。企画盤には違いないけれど、「モダン・ミュージック」や「カメラ=万年筆」あたりが好きな人なら必聴だろう。

 2枚組である「ANTHOLOGY 1976-1996」と「かしぶち哲郎 SONNGBOOK」の計3枚の収録時間を合わせると4時間近くにもなる。一気に聴き通したら、とんでもない熱量が込められた音源の数々に頭がトロトロ。頭の芯が痺れてきて、なかなかダウナーな快感を味わえた。

 
329日 (sun)

 Kに会いにお茶の水へ。喫茶店でひとしきり話してから、マンガの買い出しのため神保町方面へ向かう。すずらん通りの店で、米倉けんご「ヨネケンファースト」と町田ひらく「卒業式は裸で」を購入。そして鈴木志保「船を建てる」を探したのだが、コミック高岡にも書泉グランデにもない。やっと見つけたのは書泉ブックマートで、全6巻を抱えて迷わずレジへ。しかもずっと探していた、犬上すくね「WORK BOX」まであるじゃないか。もう嬉しくて仕方なく、勢いで少女革命ウテナの解説本「薔薇の黙示録」まで一緒に買ってしまった。本10冊はさすがに持つ手に応えるが、嬉しい重さだ。これを全部読む時間があるかどうかなんてことは忘れて、しばし幸せな気分に。


 
328日 (sat)

 鈴木清剛「ラジオデイズ」読了。主人公カズキのもとへ、10年間会っていなかったサキヤが突然訪れる。小学校の頃のサキヤは威圧的で、カズキは嫌々つきあっていたのだが、そんな彼の願いを断りきれず、サキヤを1週間自分の部屋に泊めることにしてしまう。しかし、サキヤは以前とは別人のようにざっくばらんな魅力を持った男に変わっていて、2人は意外とうまく共同生活を始めることになる。

 サキヤが去るまでの1週間を描いたこの作品は、派手なクライマックスもなく、物語としての装飾は最小限しかない。登場人物たちもまた淡々としていて、工場でノルマをこなすカズキには、生活にとりたてて大きな不満もなければ、将来への夢もない。サキヤが去った後もその日常は変わらないままだが、しかし、少しだけリアルな現実感が生活に与えられることになる。虚無感まで達しないものの、確実に存在するどこか宙ぶらりんな気分を浮き彫りにした作者は70年生まれで、僕よりも2歳年上。どこか同世代的な感覚を感じたのはそのせいだろうか。簡潔ながら場面の空気をしっかりと描く文章表現も巧い。物語に出てくるカズキの部屋のように、窓を開け放った真夏の部屋に干された洗濯物が風に揺れるのを見ているような、そんな気持ち良さがある作品だ。

 
327日 (fri)

 「COOKIE SCENE」と「MUSIC MAGAZINE」のチェックが済んだので、渋谷でレコード屋をまわる。ディスクユニオン地下のジャズコーナーで、長年探していたSUN RAの「SPACE IS THE PLACE」を発見、狂喜して購入。2年ほど前にフリージャズのオムニバスでタイトル曲を聴いて以来アルバムを探していたのだが、どうも今年初CD化されたばかりらしい。なんだったんだ今までの苦労。2階上がったロックのコーナーでは、じゃがたらの「家族百景」の10インチ盤を見つけたが、4800円という値札を見てすごすごと退散。

 日本盤のCDは、メンバーは定価10%引きのレコファンで買う。今日は大熊亘ユニットの「シカラムータ」をレジへ。ソウルフラワーユニオンのクラリネット奏者のリーダー作で、かつてのコンポステラ関係のミュージシャンが参加しているとなれば買うしかない。ちなみにレコファンでは、コーネリアスの「ファンタズマ」とバッファロー・ドーターの「NEW ROCK」のアメリカ盤が入荷していた。バッファローはGrand Royal、コーネリアスはMATADORからの発売。

 珍盤・奇盤も取り揃えているWAVEでは、TORTOISEの「TNT」輸入盤、オムニバス盤「ANGEL OF LIFE IN A PHYCHIC WASTELAND」を購入。後者は世界のキテレツ音楽を集めたもので、Eerie Materialsというレーベルからの発売。暴力温泉芸者やSTOCK,HAUSEN & WALKMANも収録している。レジではこのCDのポスターをもらったんだが、輸入盤を買ってポスターもらったのなんて初めてだ。しかも金髪ギャルが包丁持ってニッコリという頭のとろけたデザインがナイス。狙っていたGASTR DEL SOLはすでに売り切れで、一足遅かった。

 
326日 (thu)

 アスペクトの「歌謡ポップス・クロニクル」、宝島社の「盗聴・盗撮−恐るべき技術」を購入。後者は、宝島が新たに始めたスピードブックスという文庫シリーズの1冊だが、何軒かの書店をみても文庫の棚にはなく、やっと見つけた先ではサブカル系書籍のコーナーにあった。

 「歌謡ポップス・クロニクル」には鈴木慶一サエキけんぞうの対談があるほか、小西康陽近田春夫のインタビューまで載っている。内容もカバーポップス・エレキ歌謡・GS・アイドルポップスなど多岐に渡っているし、服部良一の記事があるのもポイントが高い。昔はFMのエアチェックマニアで、古い歌謡曲まで聴き漁っていた僕には、待ってましたという感じの本だ。

  o u t d e x更新。青山陽一ライヴリポート、切通理作セミナー「サブカルチャーを解題する」、北野武監督「HANA-BI」、相互リンク1サイトを追加しました。

 
325日 (wed)

 呉智英「危険な思想家」読了。この読了って言い方も呉のマネだ。封建主義者である彼の近年の文章を集めたもので、今はなき「宝島30」での挑発的な連載「人権真理教と差別」も収録している。

 第一章「オウムの托卵」では、被害者の人権救済のためにオウム信者の人権侵害を許容する発言をする人権家を批判し、第二章「人権心理教の支配に抗して」では、人権主義者・民主主義者の言動の矛盾点を指摘する。その人権主義者・民主主義者への批判は執拗なまでだ。民主主義が真実とされているがゆえに、単なるイデオロギーのひとつに過ぎないことが認識されない現状に対して警鐘を鳴らしているのだと呉は述べる。つまり人権思想・民主主義による一元的支配への批判ということだ。

 そうした現状を挙げた上で、呉はイデオロギーの終焉を唱えているが、気になるのは「その先」が提示されていないこと。人権思想・民主主義なき後の具体的方策が提示されていないのだ。封建主義者を標榜する彼の本にしては、封建主義という言葉自体がほとんどでてこないのも不思議といえば不思議。

 しかし、それでも単なる反動的な論説集にならないのが思想家・呉智英。このインパクトの強さは、論理的整合性の高さによるものだろう。我々を取り巻くイデオロギーに疑問を持ったことのない人ほど、本書から受ける衝撃は大きいに違いない。劇薬かもしれない。

 それにしても悔やまれるのは、あとがき「東京クーデター計画」に書かれている東京都知事選出馬計画が頓挫したことだ。人権主義と民主主義について考えるきっかけを作るため、呉自身が選挙に出馬し、「差別もある明るい社会」を訴えようとしていたというのだ。一歩間違えると電波系扱いされそうだが、選挙という大義名分のもと、「差別もある明るい社会」をスローガンにした宣伝カーで東京中を走る呉の姿、一度見てみたかった。

 そして呉は、そんなことをしても結局何も変わらないだと、珍しく弱気の発言をしている。そんなわけで、呉ファンにとって本書最大の山場はこのあとがきと言えるだろう。

 
324日 (tue)

 レコファンで、YOU THE ROCKのマキシシングル「ROCK THE POINT」と音楽雑誌「COOKIE SCENE」を購入。YOU THE ROCKは名前しか知らなかった日本人ラッパーだが、ビブラストーンの「HOO! EI! HOO!」をカバーしているといるので聴いてみた。僕はラップよりもバック・トラックの方が気になるたちなのだが、このシングルのサウンドはやや刺激が足りない。これならTOKYO No.1 SOUL SET のマキシシングルを買えばよかったかな、なんてことも頭をチラリ。でも、カバーのわりには自己流に巧く消化したラップには好感をもった。しかも近田春夫がラップとリミックスで参加。

 「COOKIE SCENE」の今月号にはムーンライダーズ特集が載っていて、英米ロック中心の雑誌としてはなかなかの英断だ。知り合いのHさんがデータ面の文章を担当している。ライダーズっていまだに現役でいるために「中年のバンド」みたいに思われて、かえって若い衆には聴かれないところがあると思う。ずっと一定の評価を受けているかわりに、一気に再評価されることもないバンドなので、こういう記事は嬉しいところ。

 「COMIC CUTIE」の第2号も出ていたので買ってきた。まだ新人だけど橋本ライカっていいなぁ。小野塚カホリ・やまだないと・ななんキリコ・南Q太あたりがいいのは当然として、この号で予想以上の大ヒットを飛ばしてくれたのが鈴木志保。時間軸を壊しかねない複雑なコマの配置、コマいっぱいの文字列など、かなりアヴァンギャルドなのに、胸に染みてしかたない。飼い主の死によって、死の意味に直面する謎の生物「ノラ」を通して、世界の残酷さと美しさを描き出す感動的な作品だ。これで「ロータス1、2、3」なんて表計算ソフトみたいなタイトルじゃなけりゃ完壁なのに。いや、このタイトルのままでも傑作だけど。

 
323日 (mon)

 メディアファクトリーというあまり聞かない版元のわりにはテレビCMまで流している「コミック アルファ」創刊号を購入。作家の顔ぶれからして「ビッグコミックオリジナル」のようなものかと思っていたが、特異なベクトルの誌面に愕然とさせられた。もしあなたが永井豪が「モーニング」に連載している「デビルマン レディー」に、作者の意図とは異なる面白さを感じていうなら、この「アルファ」の巻頭カラー「スペース フェアリー」を読むことを是非お勧めしたい。「バットマン」の主要原画作者というアメリカ人と永井豪の共作というこの作品、見事なまでに脱力を引き起こしてくれる。何か法律を適用して取り締まりたいところだが、適当な法律が見当たらないのは残念至極。永井はインタビューで「日本のマンガはかなり過激なところまで進んでいますので」原作よりも過激にしたと語っているが、「デビルマン レディー」が取り返しのつかないほどモンドな作品になったのは、永井が表層的な刺激に囚われているためだったのだと良く理解できた。

 その他にも、ネーム処理が最低のさいとう・プロ作品、唖然とするほど構成に芸のない倉田よしみなど、大時代的なマンガにことかかない。中尊寺ゆつこの起用というのも太っ腹で、彼女が連載していた故「週間アスキー」を思い出してしまった。あと、原作付きの作品が多いのも謎。コンセプト優先なのだろうか。やっぱり新人をどんどん起用させる意気込みが無いマンガ雑誌は好きになれないと痛感。意外とこんな雑誌が売れるのかもしれないが、いい年こいてこんな夢だのロマンだのに現実逃避するオヤジにはなりたくないものだと思ってしまった。

 で、今日買ったもう1冊が「別冊マーガレット」。女友達に「ベタベタの少女マンガが読んでみたい」と話したところ、「別マがいいでしょ」と勧められたのだ。他の友人には「良くないベタベタのような気がする」と止められたのだが。目次を見ても知らない作家ばかりで、これは意外と新鮮。しかもパラパラめくるだけで、少女マンガ独特のトーン使いやコマ割りが生み出す空気が広がってくるようだ。読まなくても、もうこれだけで満足しちゃうかも。そもそも、これを読む前に、数ヶ月分溜まってしまった「アフタヌーン」を読み終えなければ…。

 
322日 (sun)

 コミティアのスタッフと作家によるお茶会があるというので、Uさん・Jさんとともに巣鴨へ。会場は区民会館みたいな施設の座敷部屋で、最終的には3・40人とけっこうな人数になった。もっとも、僕のように特定のサークルに所属しているわけでもなく、絵も描かないような存在は少数派、というか1人だけ。マンガ作りについてよくわからないせいもあって、音楽系の人たちとよく話していた。

 夕方にお開きになった後、Uさん・Jさんと車でファミレスへ移動し、創作やら表現やらについて青臭いくらいに話し合う。ただ、日頃の疲れがたまっているために車酔いしてしまい、体調が最悪だったのにはまいってしまった。気分が悪いと、周囲の煙草や香水の匂いが気に障って仕方ない。挙げ句はトイレで吐いてる始末。

 o u t d e x更新、切通理作編・著「ぼくの命を救ってくれなかったエヴァへ」を「BOOK」に、村上知彦監修「みんなのマンガ '98コミックランキング」を「COMIC」に追加しました。

 
321日 (sat)

 渋谷LA-MAMAでの青山陽一ライヴへ。渋滞につかまりながらなんとか間に合ったJさんと合流し、その後Jさんの知り合いのTさんIさんとも合流。

 ライヴは当然のように良くて、立ちっぱなしの辛さも忘れて聴き入ってしまった。流行りのサウンドに流されることなく、ストイックなまでにロックやブルーズの感触を前面に押し出しながら、同時にこれほど多彩な世界を生み出す力量はやはり凄い。スティールギターやブラスを含む、バックのThe Blue Mountainsが鳴らす音は、地味なようだが一音一音が見事なまでに選び抜かれている。サルサやスカなど、リズム・アレンジも凝っていて秀逸。今日は青木孝明がベースで参加していたが、「曲がる曲がる」での彼のベースには痺れてしまった。終盤の「紅茶ブルーズ」「傑作でない時」の、熱気と艶をはらんだ演奏も素晴らしかった。アンコールではストーンズとビートルズのカバーも披露、特に「ジャンピン・ジャック・フラッシュ」はジャジーなアレンジで、最後まで驚かせてくれた。

 終演後、想い出波止場のライヴを抜け出して来てくれた、横浜ヴァージンメガストアのHさんのご紹介で、青山陽一本人と話すことが出来た。Jさんと僕は、今日のために慌てて作ったファンジンをプレゼント。その後の食事では、さんざんコアな話しを聞く。そして帰宅後、ライヴの後の耳鳴りが残る耳で、青山陽一の最新作「Ah」を聴き返したのだった。

 
320日 (fri)

 久しぶりに金縛りにあった。この日寝たのは午前3時過ぎ。最近は寝つきが悪いけど、今日は週末で疲れてるからすぐ眠れるだろう…と思っていたのだが、少し眠りに落ち込むとまた目が覚めてしまう。そんなことを数回繰り返し、気がつくと金縛りというわけだった。

 僕は中学2生の頃、毎日のように金縛りにあっていた。その後も時々はなっていたが、なその時期にあれほど集中したのかは今でもわからない。たぶんその頃から「オールナイト・ニッポン」とか深夜ラジオを聞き始めて、夜更かしをするようになったことが関係しているのだろう。霊がどうのこうのと真顔で言う友人もいたが、まずそれはない。怖々と目を開けてもそこにあるのはいつもの天井で、何も僕を恐れさせるようなものは何もなかったのだから。ただいつもと違うのは、身体が動かないということだけだった。

 しかしまぁ、霊現象ではないとわかっていても、金縛りにあうと嫌な気分なのは今でも同じ。体が眠っている状態の時に、脳だけが覚醒してしまうと金縛りが起きると記憶しているが、実際になるとやはり不安になってしまうのは、中学生時代の記憶が頭の片隅にあるせいだろうか。あー久しぶりになったなぁ、なんて冷静に考える一方で、金縛りをとこうとあせってしまった。金縛りの時にもうひとつ嫌なのは耳鳴りで、これがかなりうるさい。しかも、誰かの声が聞こえてくる気がする…なんて考えると、本当に聞こえてくる。金縛りというのは夢うつつの状態の時に発生するので、自己暗示にかかりやすいのだろう。

 なにはともあれ、力を入れて指を1本でも動かすと、金縛りは嘘のようにとけた。これも中学生の頃と同じだった。さて次はいつだろう。

 
319日 (thu)

 切通理作のセミナー「サブカルチャーを解題する」も今日で最終回。今回はゾロアスター教研究者である松井不二夫がゲストで、ウルトラマンティガの話題が中心だった。松井不二夫が登場するのは第1回に続いてこれが2回目だったが、その時に出席していなかった僕はゾロアスター教やグノーシス思想についての基礎知識も無く、しかも前半は特撮やアニメなどにも話題が飛んだために話題の主軸がつかめなくて困った。もっとも、ウルトラマンティガに話題を絞った後半は講師陣のテンションも上がり、ティガを見ていなかった僕にも魅力が伝わってくるほどだった。

 この日は諸般の事情で、警備員が走り、パトカーが乗り付け、30分近くも中断するという突発的な事態も起きたが、セミナー全体としては非常に濃いオタク&サブカルネタを満喫できた。当たり前ですが、僕なんてまだまだだと思い知らされましたよ。

 今日の打ち上げには、なんと頭脳警察のPANTAが来ていた。意外にも精神世界やアニメに詳し彼は、切通理作編著「僕の命を救ってくれなかったエヴァへ」に参加していたのだ。ここぞとばかりにサインをいただき、今週もミーハー気分。

 
318日 (wed)

 三省堂で鈴木清剛「ラジオ デイズ」を購入。文藝賞受賞作ということしか知らなかったが、評論家として信頼している中条省平が推薦文を書いているので読んでみることにした。京極夏彦のデビュー作も探しているのだが、あるのは最新刊の鬼太郎本ばかりで、どこにもないのはなぜだろう。

 最近知り合った方にNIFTYのパティオに誘われた。最近は1ヵ月に2回見れば多い方だったNIFTYに久々にアクセスし、四苦八苦して発言を読めるようにはなったものの、未だ書き込みはできないまま。古いヴァージョンのニフティーマネージャーのため、前もって準備した文章を貼りつけることもできないうえ、オンラインで書くにも文字の修正がやたら面倒なのだ。仕方ないからニフティーマネージャーをヴァージョンアップしようと決め、ダウンロードは時間がかかるのでCD-ROMを探しはじめたが、地層のように物が堆積した部屋の中で作業は難航。しかも読み忘れていたマンガや雑誌を発見したりで、当初の目的は忘れて読み始める。さらにそこへ知り合い2人から立て続けに電話が掛かってきたのでベラベラ話し、採掘現場のようになった部屋の収拾もつかないまま夜は更け、途方にくれることに。

 
317日 (tue)

 渋谷のレコード屋をまわったものの気になる新譜もないので、The Beach Boys「WILD HONEY」を購入。最近は、買うものがないと彼らの再発盤を手にする癖がついてしまった。タワーレコードでは「MUSIC MAGAZINE」の4月号も買ったのだが、普通の本屋で並ぶのは早くて19日ぐらいのはず。以前からなぜレコード屋には早く入荷するのか不思議だったのだが、たぶんトーハンや日販などの卸しを通していないのだろうと今頃になって気がついた。

 本屋では呉智英「危険な思想家」を発見し、嬉々としてレジへ。今はなき「宝島30」に連載されていた「人権心理教と差別」も収録した単行本だ。すぐに読みたいところだが、現在は筒井康隆の「笑犬楼よりの眺望」を読んでいる最中。「噂の真相」に連載されたエッセイ10年分をまとめたボリュームのある本で、こちらも柔軟かつ偏屈で素晴らしい。もっとも、その面白さゆえ、本を読むのが遅い僕としては異例の速さで読み進んでいるので、呉の本も今週中に読みはじめられそうだ。

 
316日 (mon)

 Eさんからのメールで、アスキーから出ている日本のホームページ100000という本にo u t d e xが紹介されていると知らされる。そういえば、一昨日Sさんからも言われていたのだ。本が出てから知ったのだから、当然ながらアスキーからの連絡は無し。なんでも解説は全く無くて、ジャンル別にページ名とURLが並んでいるだけだとか。なんか実用性の無さそうな本だなぁ。

 そんなわけで早速本屋で立ち読みをしてきたんだが、「o u t d e x」はマンガに分類されていることが判明。まぁサブカル&オタクなんて分類項目が無い以上仕方ない。また、索引を引いていたら地下水道も載っていた。それにしてもこの本、何が困るって重いことだ。立ち読みしてると腕が疲れてかなわない。立ち読みのことなんか考えてないか。

 この「日本のホームページ100000」という本は、旧版では日本のほとんどのホームページを紹介しているというのが売り文句だったようだ。ところが新版では、26万ページの中から厳選されたホームページということになっている。26万中の10万ページという競争率が「厳選」といえるのかはさて置き、ページの急速な増加を教えてくれる話ではある。それにしてもホームページと連動でもさせないと、紹介されているURLをいちいち手入力しなければならないわけで、この本には実用性があるんだかないんだか。

 ところでうちのページを掲載するのは、無断でも僕個人は一向に構わないのだが、気になったのは「個人のページ」というジャンル。ここに「ネット上の美女たち」とかなんとかいうコーナーがあるのだが、こういうのって以前「デジスピ」という雑誌がやって問題にならなかったっけ? あれは無断で顔写真まで使うという悪質さだったので、それよりはこの本の方がマシだけど。そもそも10万も集めるともなれば、やっつけ仕事にならないほうが不思議かもしれない。

 
315日 (sun)

 ネット仲間のNさんと、北野武監督「HANA-BI」を銀座で観る。いきなり暴力で始まり、その緊張感が最後まで続く作品だ。連続殺人犯に同僚が殺される場面を少しずつ挿入していったり、下半身不随になって絵を描きはじめる同僚の姿が物語の本筋とシンクロする構成は見事。北野武による絵が病院や喫茶店、ヤクザの事務所にまで飾られていたりするのはやりすぎの感もしたし、同僚の家庭や浜辺で凧上げをする少女の描写には、幸福やイノセンスといったものが記号的に表現され過ぎているきらいもある。それでも叙情とユーモアと暴力の溶け合い具合は素晴らしく、クライマックスでの盛り上がりやカタルシスとは無縁のこの物語を紡ぎあげることに成功していた。元刑事が銀行強盗をするような荒唐無稽な展開があっても、観終わった後には静謐な印象が残るばかりなのだ。

 ところでこの映画のラスト、公開前後の「週刊文春」で北野武自らが語っていた。それと知らずに読んでしまったので、劇場で観ても衝撃が薄くなってしまったのは残念。エヴァの完結編の時のように事前に展開を知っていても楽しめるのが優れた作品の条件だと思うのだが、やはり自分でネタばらしは勘弁して欲しかった。ラストがこの映画の命なんだから。

 劇場を出た後、喫茶店・ビアホールと場所を変え、2日連続で酒を飲んだためヘロヘロに。

 
314日 (sat)

 5月のコミティアで発行されるマンガ&文章同人誌の打ち合わせで池袋へ。編集長のMさん、漫画に関するWebページOHPのSさん・Hさん御兄弟と、芳林堂コミック売り場の青林堂の棚の前というマニアライクな場所で待ち合わせ。Sさんのページとo u t d e xは相互リンクしているのだが、SさんとMさんが以前からの知り合いだったとは知らなかったので、こういう形でお会いするとは予想もしていなかった。意外と世間は狭いものらしい。

 当然打ち合わせもしたのだが、話はすぐにそれてマンガの方向へ。皆さん圧倒的な量を読みこなしてきたマンガ読みであるため、僕はもう圧倒されっ放し。とにかく、こんなにマンガのことばかり放し続けたのは生まれて初めてではないかと思うほど。その場の全員が津野裕子を知っていたのは夢のようだった。あと、オタクは京極夏彦を読まなければいけないと言われて、今さらながら購入を決心。

 次の店でも飲み、下戸の僕にしてはアルコールを多く摂取したために、最後は潰れてしまった。もっとも、ビール1杯にカルアミルク2杯でダウンしたのだが。ここでも次々と読むべきマンガを紹介され、やはり量を読みこなさなければと思わせられる。レヴューのあり方も考えさせられたりで、いろいろと得るものの多い夜だった。

 
313日 (fri)

 o u t d e x更新、まず「MUSIC」にさねよしいさ子のライヴリポートをUP。今月1日のライヴだったから、あっという間に2週間が経ってしまったのだ…と気付いて唖然。

 加えて、新たにプロフィールのページを追加。ネット仲間に実際に会った時、「意外に若いんですね、趣味とか文体から30ぐらいの人だと思ってました」と言われたことが3回ぐらいあるんだが、もうこれでそんな心配はないはず。ツラの写真とかはないですが、よくある感じの自己紹介を書いてみたので、興味のある方はどうぞ。そっけなさ過ぎるかも。

 
312日 (thu)

 先週に続いて、切通理作によるセミナー「サブカルチャーを改題する」へ。今週は「エヴァVSラブ&ポップ」と題して、「僕の命を救ってくれなかったエヴァへ」でも切通と対談していた宮崎哲弥を迎えてのトーク。話の大部分はエヴァについてだったが、オウムや酒鬼薔薇などの社会問題とエヴァの同時代性を中心に語った本での対談とは違い、むしろエヴァの作品世界の分析が中心となった。少年によるナイフ傷害事件の話題をエヴァに絡めて展開していくのではないかと予想していたのでこれは意外だったが、2人がエヴァに惹かれた理由が伝わってくる点で、個人的には本よりも今日の対談の方が素直に楽しめた。

 打ち上げでは、「僕の命を救ってくれなかったエヴァへ」に切通・宮崎両氏にサインをしていただき、すっかりミーハー気分。宮崎さんは非常に精悍な印象の方だった。

 
311日 (wed)

 渋谷タワーレコードで、沖縄民謡の大御所・登川誠仁の「ハウリング・ウルフ」、ソマリアの女性歌手・MARYAM MURSALの「THE JOURNY」を購入。ワールドミュージック系の音楽は情報が少ないので、CDのジャケットから内容を判断して購入するという運試しのような買い方がほとんどなのだけれど、タワーは試聴できるCDが多くて安心。同じくワールドミュージック系の試聴盤が多い新宿のヴァージンメガストアと並んで購買意欲を刺激してくれる罪な店だ。

 登川誠仁のアルバムは2枚組ながら税抜き3200円で、なんで安いのかと思ったら半分はMCだった。戦後沖縄で流行った様々な歌を演奏しつつ、曲間でこれまた大御所である照屋林助と解説や思い出話をするという構成。聴き物は唄と演奏で、エレキギターとドラムセットを導入したサウンドは、登川&照屋の唄の独特の緩さとあいまって、一聴すると沖縄の音楽だか東南アジアの音楽だか分からないような奇妙な味わいだ。ユーモアや哀愁とともに、こんなアルバムを作ってしまうラディカルさも感じさせて、ブルースを連想させる「ハウリング・ウルフ」というタイトルにも納得。

 MARYAM MURSALのアルバムは、ワールドミュージックの殿堂・REAL WORLDからの発売。繊細なコブシ回しより迫力で聴かせるタイプの歌手だ。打ち込みが前に出過ぎているサウンドには「デジロック」なんて死語も思い出してしまい、民俗色の強いシンプルな演奏の方に惹かれもしたが、テンションの高さは楽しめた。REAL WORLDを主宰するPETER GABRIELもコーラスで参加。

 
310日 (tue)

 切通理作編著「ぼくの命を救ってくれなかったエヴァへ」読了。メインは、この本の半分近くを占めている切通と宮崎哲弥による対談なのだが、他の執筆者も、PANTA・村崎百郎 ・村瀬ひろみ・丸田祥三とクセモノ揃い。村崎百郎については、鬼畜ぶりはライターとしての演出で実は常識人なのではないかと疑っていたのだが、この本の文章を読んでさらにその思いを強くした。なんか無理に笑いを作ろうとしているし、そもそも執筆時にはエヴァへの興味も薄れていたようだ。反対に、予想以上にテンションが高かったのがPANTAで、これほど神話や精神世界に詳しい人物だったのかと驚かされた。

 切通理作と宮崎哲弥による対談は、荒っぽくまとめれば、エヴァ現象を通して日本の社会状況を分析したもの。昨年夏に完結編を見て以来エヴァ関連書籍をほとんど読んでいなかったので、他の文化人の発言への批判も含んだこの対談は、エヴァ現象の総括の一つとしてなかなか面白かった。特に宮崎の発言はかなり過激。ただ個人的には、サンプリング的な手法が生み出した文化的な閉塞感をエヴァ完結編が打破したことが一番印象に残っていたので、社会やオタクについてだけでなく、この辺りについても語って欲しかったのだが。

 ところで現在ガロでは、大塚英志が「夏への批評−最後尾のエヴァンゲリオン論」を連載中。宮崎勤を絡めてエヴァを論じるという彼の得意技が展開されているので、興味のある方はどうぞ。

 
39日 (mon)

 朝からSo-netのメールサーバーが落ちていたおかげで、爽やか極まりない気分で一週間をスタート。最近のwww02サーバーの重さといい、たまりかねてサポートセンターに電話したところ、メールサーバーは現在修理中で復旧は夕方だと告げられる。そんなに。また、www02サーバーがあれほど重い原因について聞いたら、「現在調査中です」。たしか1ヶ月前にメールで問い合わせた時にも同じことを言われた気がするのだが。本当は外部から何かされてるんじゃないか…と勘ぐりたくなってしまった。

 come.toという無料URL転送サービスに申し込んで、http://fly.to/outdexというURLでも「o u t d e x」にアクセスできるように設定。http://www.cyberjunkie.com/outdex/でもアクセスできるのだけれど、こちらのほうが軽いし、URLも短くてすむ。最近は「to」が入ったURLやメールアドレスを使っている人が増えてきたが、これは南太平洋のトンガ王国のサーバーだそうだ。なんでもトンガは政府が積極的に「to」の普及を推進しているんだとか。「come.to」を利用すると、「surf.to/***」とか「move.to/***」なんて気の利いた短縮URLが使えるわけで、けっこう便利なアドレスだ。ちなみにトンガ国王の御尊顔はこちらです。

 
38日 (sun)

 5月のコミティアで配布するペーパー用の鼎談をするいうので、UさんとJさんに会うため渋谷へ。このペーパーはUさんのサークルで発行しているもので、ファミレスで3時間近くヨタ話をして作成。帰宅すると今度はHさんからメールが来ていてた。Hさんは、次の号から僕が書かせていただくことになったマンガ&文章同人誌の編集長さんで、今週末に打ち合わせとのこと。そういえば、頼まれていたKさんの同人誌のレヴュー原稿の締め切りも今週末だった。3月だというのに、次のコミティアに向けて周囲が一気に動き出したみたいだ。もっとも、何のコミティア参加サークルにも属していない僕が、いろんなとこに関っているのも妙なんだけど。

 ここ数日のテレホ時間帯、So-netのwww02サーバーのページ群が絶望的な接続状況になっている。なにしろ僕は自分で自分のページが見られないため、UPしたページの表示確認すらままならない。そんなわけで、僕のページはテレホ以外の時間帯にご覧になることをお勧めします。こんなことをお願いするのも悲しいんですが…。

 
37日 (sat)

 今日は部屋を片付けて要らない本を古本屋に持っていくつもりだったものの、結局寝ているだけで終わってしまった。昼まで8時間、夕方に2時間ほど寝て計10時間。最近はずっと睡眠不足で、大脳が日に日に弱体化していくのを感じていたのだが、見事にその反動が出てしまった。昼過ぎに友人から電話がかかってきて渋谷まで出てこれないかと聞かれたが、疲れてるのでパス。

 それでもレンタル屋で借りたCDを返しに外出もした。足はついつい本屋へ向かって、「amie」4月号とOKAMA「めぐりくるはる」を購入。部屋の本を減らす予定だったのが、逆に増やしてしまった。

 夜テレビ朝日の「ザ・スクープ」を見る。現在のオウムの活動を中心に紹介していたのだが、なかでも脱会した元オウム信者のその後には複雑な気分になった。超国家主義の団体(右翼とネオナチが合体したようなもの)で活動する元信者が姿には、強力な原理に依存しなければ生きていけない自我の弱さを見せつけられた気がして、ある種の近親憎悪すら感じる。紹介されたもう1人の元信者は、苦悩を表現した「仏教ポップ」で活動する人物。僕は彼を昨年9月に開催されたイベント「ネオ縄文人宣言」で見ているのだが、その際には元オウム信者であることを「売り」にする彼に対して強烈な嫌悪感を覚えた。しかし、原理や父性を求めるよりはマシなのかもしれないな…と少しだけ見る目を改めたりした。音楽的に最低であることは変わりないのだけれど。

 
36日 (fri)

 切通理作編著「僕の命を救ってくれなかったエヴァへ」、望月峯太郎「ドラゴンヘッド」第6巻、ダ・ヴィンチ編集部編「1億人の漫画連鎖」を購入。「僕の命を救ってくれなかったエヴァへ」は、来週のセミナーが宮崎哲弥を向けてのエヴァ対談なので、予習を兼ねて読むことに。「1億人の漫画連鎖」はマンガガイド本なのだが、ひとつのマンガから、テーマ・世界観・表現などに共通するものがあるマンガを次々と紹介して行くという手法が斬新だ。古屋兎丸のパロディーマンガもあるし、レイアウトもいい。

 そして「ドラゴンヘッド」なのだが、相変わらずの緊迫度で、一気に読まされてしまった。テルの薬を探すために行った街で、アコと仁村は暴徒に襲われる。彼らが病院に追いつめられて戦う場面と、看病のおばさんが瀕死のテルに語り掛ける場面が交錯する部分が、この第6巻の山場だろう。人間の心の闇に対抗するには、結局人間の心しかない…というテーマを、巧みな演出で見事に浮き上がらせている。

 ところでその「ドラゴンヘッド」には、ロボトミー手術でもされたかのように感情を失った菊池というキャラクターが出てくる。その人格改造手術こそが「竜頭」と呼ばれるもので、この物語の今後の鍵になるらしい。そしてその菊池が飲んでいる薬の処方箋に記されているのが「SSRI-EX」という言葉。「SSRI」とはつまり「プロザック」のことで、「SSRI-EX」はその強力なものだと推測できる。プロザックは、脳内物質のセラトニンを増大させることによって、人間から一切のマイナス的感覚を消し去り、人格をポジティヴに変えるとされる薬だ。鶴見済の「人格改造マニュアル」で紹介されて以来注目されるようになった。こういう要素をしっかりと押さえる望月峯太郎、心憎い限りだ。

 プロザックは日本でも明治製菓から発売されるという噂があったのだが、発売は先のことらしい。日本人が個人で入手するには個人輸入するしかなく、International AntiAging Systemsのようなアメリカの機関に注文するしかない。代行輸入業者のHPも見つけたのだが、値段を見たら、なんと28粒入りで23000円! これじゃ僕にはとても手が出ませんなぁ。

 
35日 (thu)

 切通理作によるセミナー「サブカルチャーを解題する」に参加するため、Eさんと中野ZEROホールへ。会場は100人弱を収容する小ホールで、けっこう人が入っていた。僕は初参加だったのだが、このイベント自体は今日で3回目。この日は 「宮崎駿と高畑勲」と題して、COMIC BOX 編集部の人をゲストに迎えてのセミナーだった。内容はやはり宮崎駿中心で、ヒューマニストあるいはエコロジストといった、一般的な宮崎駿への評価に囚われずに彼の作品と姿勢を分析。個人的には、「もののけ姫」と「風の谷のナウシカ」マンガ版のテーマの共通性に触れた部分が興味深かった。漠然と感じていたことがはっきりと言語化された気分で、もう一度「もののけ姫」を見ようという気にさせられた。

 そのイベントが始まって1時間ほど経った頃、宅八郎 が会場に姿をみせ、場内の空気が微かに揺れた。御存じの方も多いだろうが、切通理作と宅八郎は、「宝島30」や「SPA!」誌上でのトラブルがもとで対立関係にある。その彼がこのセミナーに毎回来ているそうで、しかも先週は切通理作徹底批判のホ−ムペ−ジの作者さんも乱入したとか。僕が参加申し込みをした際も、スタッフの対応はかなりナーヴァスだった。生で見た宅八郎は、非常にクールな雰囲気だったのだが。

 今日は何事も無くセミナーが終わり、Eさんの紹介で打ち上げに参加させていただく。セミナー中も感じていたことだが、切通さんはとても饒舌な方だった。

 飲み屋を出る頃にはすっかり吹雪で、革靴の底に雪がしみてきた。まだ買って間もないのに。

 
34日 (wed)

 tortoiseの新作「TNT」を発見したものの、日本先行発売のため国内盤しかない。たかだが数百円の違いだが、解説とボーナストラックのためだけに高い日本盤を買うのはシャクなので、輸入盤入荷まで待つことにする。でもトータスの輸入盤って高かった気もするし、日本盤を買った方が良かったかも。うーむ。

 代わりに、新潮社のものとは思えない雑誌「アウフォト」を買って帰る。写真投稿誌(エロ系にあらず)なのだが、その場の空気が封入された写真が多く、見てて楽しい。僕もこんな写真を撮ってみたいとは思うんだけど、載ってる写真はみんなスティルカメラで撮ったものなんだよね。僕は、去年12月にデジカメを買って以来、それオンリーになってしまったのだが、たしかに画像の色調や粗さは独特だからなぁ。それに僕の場合、写真を撮る時に身構えてしまっていることも、「アウフォト」を見てて気付かされた。

 昨日に引き続きo u t d e xを更新、1月のCDレヴュー8枚分を「MUSIC」に追加しました。ブラジルとかガーボ・ヴェルテとかバングラディッシュとかヴェトナムとか、ワールドミュージック系が半分を占めとります。

 
33日 (tue)

 読む時間があるのかなんてことは考えず、「Quick Japan」Vol.18、ガロ4月号、サリンジャー「ナイン・ストリーズ」、カミュ「異邦人」をドバドバと購入。カミュなんて高校時代に読んどけよって感じだ。「ガロ」ではキクチヒロノリが奇天烈な光線を飛ばしまくってて凄いことになってる。方向性は違うけれど、過去のマンガをリミックスしながら強烈なオリジナリティーを生み出す感覚は、古屋兎丸と共通する気もするので、彼のファンは要チェック。松本充代と津野裕子の新作が毎月読めるってのも、少し前には想像も出来なかったことで、夢みたいな話しだ。

 「Quick Japan」には、「The World Is Mine」の作者である新井英樹のインタヴューが載っていて驚いた。しかもマンガの話は禁止というのがインタヴューの条件だったとか。彼の作品に登場する東北人の強烈なイメージから、僕はてっきり彼は東北出身だと思っていたのだが、実は都会に生まれ育ったという。しかも僕の大学の先輩と知って2度ビックリ。意外と生育環境は似ているのかもしれないが、そんな生活の中から「The World Is Mine」のような血まみれの作品を生み出す新井英樹に、ますます興味が湧いてきた。

 o u t d e xを更新。大江健三郎「セヴンティーン」「政治少年死す」、見沢知廉「調律の帝国」、相川俊英「長野オリンピック騒動記」、「文藝春秋」3月号、「新潮45」3月号を「BOOK」に追加しました。新潮社度高し。また、相互リンクに一挙5サイトを追加しました。様々なジャンルのページからリンクしていただいて、有り難い限りです。

 ところでこの日記、新装開店後は2だったフォントサイズを、今日から3に戻してみました。しばらくの間は日によって変化するかもしれませんが、僕の優柔不断のせいだと思って見逃して下さい。

 
32日 (mon)

 今日の毎日新聞朝刊に、「<真実>は残っていたか?−少年A供述調書とメディア」と題した香山リカの文章が載っていたのだが、不思議な論理でいかにも彼女らしかった。酒鬼薔薇の供述調書を掲載した「文藝春秋」3月号についての評論なのだが、供述調書の内容自体よりも、自分が少年やその犯行内容をすでに詳しく知っていたことに衝撃を覚えたとして、立花隆や「文藝春秋」編集長の意気込みは空しいものに思えたと述べている。

 立花隆や「文藝春秋」編集長の行動の是非は、ここではひとまず置いておく。僕が疑問に感じたのは、彼女が「私たちの多くは、これ以上の内容−少年の家族構成や顔、本名にいたるまで−を知ってしまっているのである」と述べ、それを論の根拠にしている点だ。はたしてそうだろうか? 確かに僕個人はそれらの情報を知っているし、このページをご覧の皆さんの中にも知っている人はいるだろう。しかし一連の事件の中でそうした情報に触れられた人は、インターネットをしている人の中でも少数だろうし、ましてネットに無縁な生活を送っている人達は、少年の顔や本名など知らない人が圧倒的多数なのではないだろうか。顔写真を掲載した「FOCUS」も、一般の人の手にはほとんど渡らなかったのだから。そうした現実を考えると、彼女の論理は「文化人」である自分を唯一の基準にしていないだろうか。そこにはある種の奢りや優越感があり、論理は根幹から狂っていないだろうか。

 それにしても、彼女を起用する大新聞各紙の担当者は、彼女が新宿のロフトプラスワンで、数メートル四方の酒鬼薔薇の顔写真を飾ってイベントをやったことを知らないようだ。たしかに、ご立派なメディア論を大新聞で展開する彼女が、少年法の精神に触れる行動をしているとは想像もできないだろう。そして彼女に対して僕が感じる胡散臭さは、メディアによって自分を演じ分けるこの姿勢にあるといってもいい。

 彼女の発言を読んでいつも感じるのは、その立場表明の不明瞭さだ。どの事象に対しても客観的な立場を崩さずに語っているようだが、それは自分だけを安全地帯に置こうとする姿勢のように感じられてならない。また、彼女の論評の多くは、一般的な感覚に対する単純なアンチテーゼであり、極めて単純な対立項の上に成り立っているという点でも一貫している。そこに精神分析というエッセンスを振りまけば、誰もが彼女の専門知識を有り難く受け取るのだから楽なものだろう。

 そんな彼女に評価すべき点があるとすれば、やはりメディアでの身の振り方の巧みさという点に尽きる。「ビックリハウス」の編集部に寝泊まりし、80年代のサブカルチャー・シーンに積極的に関わりながら、やがて精神分析を武器にして論壇にまでよじのぼった彼女は、見事なサクセス・ストーリーの持ち主だ。太ぶち伊達メガネの後ろに隠した自己顕示欲は、並大抵のものではない。そして僕は、今も「香山リカ」を演じ続ける彼女の「大ファン」であると言ってもいい。「ファン」という言葉の拡大解釈に挑戦するならば。

  「精神分析医を精神分析する医者はいないのだろうか」と語ったのは中森明夫だった。僕はあまり彼を好きではなかったのだが、香山リカを評したこの言葉を読んだ時には、なかなかうまいことを言うもんだと感心してしまった。

(お詫びと訂正:4月5日)
 この日の日記をご覧になったSさんから、香山リカ氏に対する記述に事実誤認があるとのご指摘を頂きました。上の文章のロフトプラスワンのイベントとビックリハウスに関する記述は、たしかに伝聞の情報を確認しないまま書いてしまったものであり、香山氏にお詫びして訂正いたします。また、指摘して下さったSさんに深く感謝いたします。


 
31日 (sun)

 朝起きたら雪が降ってて唖然、というのはこの冬何回か繰り返したパターンだが、今日の場合は困惑度が一番高かった。東京駅までAさんの出迎えに行かなければならなかったのだから。大粒の雪が降る中、駅まで向かったものの、電車が1本運休してるし、乗り換えた電車も遅れている。なんとか待ち合わせ時間の直前に東京駅に着いたものの、今度は新幹線の到着ホームが分からず右往左往し、向かい側のホームに止まった新幹線から降りる人々の中に彼女を見つけ、慌てて隣のホームへ移動する始末だった。

 池袋まで山手線で移動し、東京芸術劇場でのコミティア読書会へ。このイベントは、コミティアの際に各サークルから実行委員会に提出された見本誌を自由に読むことができて、イベント当日にはチェックしきれなかった本も読めるというもの。会場でUさんとOさんに合流してから、いざチェックを開始。次々と本をチェックするというのはかなり能動的な行為であるため、神経がえらく疲れてしまったが、3時間ほどで一応ほとんどすべての本を手にとることができた。もちろん膨大な数の本を見るため、パラパラと見て引っ掛かりがなければ次となるわけで、見落としも多々あるだろうが、10冊ほど気に入った本を見つけられた。また、前回のコミティアで知り合った方に会えたり、新たに人と知り会えたりで、収穫の多い3時間だった。

 コミティア読書会を途中で抜けて、下北沢ラカーニャでのさねよしいさ子ライヴへ。普段は飲み屋である狭い会場に、お客がぎゅうぎゅう詰め。薄着で現れたさねよしいさ子はずいぶんと小柄に見えたが、天井に1本マイクがあるだけでほとんど生声状態という声量の凄さには改めて驚かされた。今日の伴奏はピアノだけだったが、息の合った演奏がより彼女の資質を浮かび上がらせていた。歌いながら踊る彼女を見ていると、彼女が単なる「歌手」ではないと思い知らされる。一見楽しげでも、自分の内面を吐き出すように歌う彼女は、時として狂気に近いものすら感じさせる。それは身体の動き・表情・歌・歌詞に表出され、そのすべてが相互にシンクロする瞬間には、聴き手である自分が侵食されてしまうような戦慄さえ覚えた。

 彼女の歌が生み出す感動は、歌詞に「あるある」と共感する類のものとは違う。少なくとも僕の場合は違っていて、彼女の世界、いや彼女の胎内に取り込まれるような感覚だ。彼女は断じて夢想系のほのぼの歌手なんかではなくて、他者との軋轢の中で、自分の言葉以前の感情を必死に投げ付ける、壮絶な表現者だと思うのだが。ライヴ終盤で歌われた「グロリア」「鳥の歌」「天使のほほえみ」といった胸をえぐるかのような曲たちはそのことを証明してくれると思うのだが、残念ながらCDになっていない。彼女のようなアーティストを正当に評価するメディアも無いのは至極残念だ。

 アンコール後の退場時、さねよしいさ子は「いろいろなことがあると思いますけど、私の歌が皆さんの慰めになれば幸いです」と語ったけれど、彼女の姿から僕が受け取ったのは、慰めというより勇気と表現した方が近いものだった。終演後、Tさん&RさんAさんと一緒に食事をしてから帰宅。

 さてさて、地下水道に続いて、今日からこの日記もレイアウトを一新しました。ロゴ&ページデザインは、「地下水道」と同じくA → Z My favorite Media indeXのGさんです。深謝。ソースを見ても僕にはもうこのHTMLは理解できなくて、進化に取り残された気分です。あと、「フォントが小さくて読みにくい」とか「うちのブラウザでは表示が変」なんてことがあったらメールください。

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日記猿人
 


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