since 14/DEC/96
 
小心者の杖日記@o u t d e x

ピクニック・カレンダー

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531日 (wed)

 新潮社の「アウフォト」って元は「egg」を作っていた人の手によるものなのかといまさら知ったのは、米原康正編「OUT OF PHOTOGRAPHERS」を読んだから。素人の投稿写真を掲載している「アウフォト」の編集版が「OUT OF PHOTOGRAPHERS」で、モンスーンクルーが制作を担当したようです。収められている写真は偶然性に負うところの大きいドキュメント性の強いもので、そのぶん自意識は控えめかあまり歪みのない形で表現されています。そして10枚に1枚ぐらいの割合でハッとさせられるような写真があるんですな。この本はかなり厳選して写真を収めていることをうかがわせるクオリティです。

 さらに「OUT OF PHOTOGRAPHERS」では、そうした写真の隅にアパレルブランドのロゴを載せて、モードの先端っぽく見せるという実験も行なわれています。でもこの本に収録された写真はあまりにリアルであるために生活臭もそのままで、ブランドに疎い僕にはちょっと判断がつかないきわどさがありました。しかも文章には全て英訳が付いた海外輸出仕様なんだから、徹底して「攻め」の姿勢の写真集です。

 
530日 (tue)

 一ヶ月先のことなら皆さんいくらでも予定を調整できると思いますので、6月30日はぜひlion KINGSにご来場ください。早い話がまたDJをやるんです。今回はオーガナイザーのユウタくんをはじめ、トモミチくんシバタくんタロウくんそして僕というメンツがDJを務めます。流されるのはジャズとか音響派とかニューウェーヴなどで、マニュエラ・カフェという会場の性質をいいことに踊れる踊れないを忘れたイベントになる予定です。DJ陣はあまりページを更新していない人が多いので、告知面でもスリリングなイベントですね。

 片寄明人の「HEY MISTER GIRL!」は、TORTOISEのJOHN McENTIREがプロデュースした7曲入り。GREAT 3の「WITHOUT ONION」に収められた楽曲の中ではポップな「Golf」が一番好きでしたが、片寄明人のソロ作はさらにポップで落ち着いた雰囲気です。TORTOISEのメンバーをはじめとするシカゴ勢が参加したサウンドにはブラジルやソウルのエッセンスがふりまかれ、なにより音の輪郭がはっきりしていて意外でした。ブラスやストリングスの巧みなアレンジといい、JOHN McENTIREがこういう職人的な仕事もできるとは。その一方、趣味のいいポップスという感じのアレンジだった先行シングル「Veranda」はエレクトロなモコッとした音に包まれていたり、JOHN McENTIREが書いたインスト「Wachet Auf」では彼のエデット技が光っていたりします。そしてそうしたサウンドと片寄明人の声との相性はとてもよく、実験性を差し引いても楽しめるポップスに仕上がっていました。

 
529日 (mon)

 武道館でBECKのライヴ。会場の広さと客の歓声もすごかったけれど、BECKも想像していなかったほど見事なショウを見せてくれました。このリポートは「MUSIC MAGAZINE」7月号に書く予定です。

 OUTDEX更新。昨秋以来中断していたのでもはや誰にも期待されていないどころか存在自体を忘れられているであろうCDレヴューのコーナーを、自分に気合いを入れる意味もあってなかば衝動的に更新してみました。去年10月から今年3月までに聴いた48枚について紹介していますが、半年分書いてもまだ現時点に追いつけません。これまでの僕のダレ具合を最もよく表しているコーナーです。

 
528日 (sun)

 フィンランドのお医者さんによると、魚を食べると抑鬱になりにくいそうですよ。魚の消費量あるいは摂取量と自殺・鬱病との関係は以前から日米で囁かれていたのだとか。たしかに魚は自殺しそうにないですもんね(そういう問題ではない)。要は、自殺しそうな人はエイコサペンタエン酸とドコサヘキサエン酸をたくさん摂取すればいいということでしょうか。膨大な量になりそうなので、最初から薬を飲んだ方が早そうですが。


 
527日 (sat)

 土曜日の夕方、時間と金をモーニング娘。の主演映画「ピンチランナー」に捧げるため、かちゃくちゃくんと巡礼のごとく渋谷東映へ向かいました。

 そして上映開始。しばらく経過してから僕の頭に浮かんだ疑問は、「この映画は壮大なネタなんだろうか?」ということでした。すでにパロディの対象となっているような演出が本気で使われ、多用されるスローモションは致命傷をこれでもかと深めているかのようです。男の自転車に二人乗りして八百屋のバナナを奪い学校に着いたら口うるさい女教師にその皮を投げつける後藤真希は非常に可愛いのですが、古い世代の話を持ち出すとその一連の場面には「月曜ドラマランド」的なものを連想しました。ちなみに後藤は天井から床に降りたり血糊を浴びたりと、特に前半で能天気キャラとして大活躍です。また一部のメンバーにはヘヴィーなバックグラウンドが用意されているのですが、安倍なつみには不幸ネタを詰め過ぎだろうとか、市井紗耶香の父親はなぜ休日も含めいつも同じスーツを着ているのかとか、飯田香織はいつバスケ部のメンツと仲直りしたのかとか、保田圭が「ひたちなか全国少女駅伝大会」の年齢制限で走れないからって心臓病という設定にするのはあんまりではないかなど、どうにも本筋とは離れた部分で興味が尽きない映画でした。不可解な部分も散見されたので、撮影された部分をかなりカットしているのかと勘ぐったほどです。市井の迫真の演技が見られたから、それでもう充分だと言ってもいいんですけどね。

 クライマックスとなる駅伝シーンは、「ひたちなか全国少女駅伝大会」という実在の駅伝大会で収録されたそうで、そこだけいきなり画質が変わります。主な音楽はデパートのBGMのようなものとテクノの2種類なので、疾走シーンで妙にのんきな音楽が流れるのはいただけません。そして、走りながら人々に愛想をふりまく飯田の姿には、現実と虚構の壁があっさり壊されています。走るモーニング娘。のメンバーに伴走する野郎どもがそのまま映っているのといい、かなりの度胸を感じずにはいられない編集でした。

 ラストを迎えエンドロールも流された後に、この作品はさらなる揺さぶりを観客に与えます。新メンバーが登場するその部分と本編との関係については、僕はパラレルワールド説、かちゃくちゃくんは夢オチ説を唱えましたが、やはり真相は謎のままです。新メンバーがひとりひとりファミリーマートの前で抱負を述べる場面に至っては、多少の整合性を犠牲にしてもキャラクターに焦点を当て続けるこの作品の姿勢の貫徹ぶりを強烈に印象付けます。

 終劇後に僕が漏らした「昔初めてゴダールの作品を見た人たちもこういうショックを受けたのかも」という言葉は、かちゃくちゃくんに「違うでしょう」と一瞬にして否定されました。「ビー・バップ・ハイスクール」シリーズで知られる那須博之監督が生み出したのは、社会派とは別の意味で観客に多くを考えさせる作品です。「いろいろ詰め込み過ぎて最後にどうでもよくなったんじゃないですか」というかちゃくちゃくんの推測はさておき、モーニング娘。のメンバーそれぞれの個性を考えて撮っているし、彼女たちの存在が気になる皆さんは是非ご覧になることをお勧めします。

 
526日 (fri)

 今日は、早稲田大学で宮台真司鶴見済らが少年事件について語るイベントがあったり、栗コーダーカルテットと東京ザヴィヌルバッハのライヴがあったりしてどちらに行くかさんざん迷ったのだけれど、調べものや集めものでドタバタしていて結局どちらも行けないという結果に。情けない。DJイベント「ハリー細野の災難」にも行けなかったけど、SALONはそのうち訪れてみたい場所ですね。


 
525日 (thu)

 かわかみじゅんこの新刊「ネオンテトラ」は、95年から今年までに発表された作品を集めた短編集。やみくもなエネルギーの炸裂や、独特のコマ割りとトーンの使い方がかわかみじゅんこの個性だと僕は認識していますが、ここに収録された作品の多くはコマ割りもトーン方もおとなしい印象です。ならば「ネオンテトラ」は面白くないのかと言えばむしろ逆、かなり読み応えがありました。

 恋に不条理なほど突き動かされ、その衝動を抑えることなく行動する少女あるいは少年を描く作品では、理屈を飛び越えているゆえに一見わけがわからない彼らの心理が繊細に描写され、それゆえに切なさが増幅されるのです。喜怒哀楽をひっくるめた瞬間ごとの感動を描写する能力は昔から高かったのだと納得させられます。女友達二人組と見えて実は片方がオカマだという「息もふれあうくらいにね!!」はギャグ度が高いものの、オカマとの対比によって女の子の中の性をより浮き上がらせる手腕が光っていました。それにしても「息もふれあうくらいにね!!【残暑編】」のオープニングは、「こんにちわ/れい子です/ダンスの好きな16歳/――このごろ/胸がおっきくなったみたい」とひとコマごとに書いていくタメ方がすごいです。

 この短編集の白眉は、「ハールを愛するヒトワ」。同棲中の男女の関係が妊娠を契機に噛み合わなくなり、それはかつての自分と母親との関係を再び子供との間で繰り返すのではないかという女の不安に原因があったことが最後で明かされるのですが、その構成の巧みさは多少都合のいい設定があることを気にさせないほどです。トラウマや堕胎を言葉ではなく絵で抽象的に描いていく手法や、人と向かい合うことのなかった者同士の心がそっと重なり合う描写が、この物語に爽やかにして深い余韻を残すラストをもたらしていました。

 
524日 (wed)

 渋谷パルコギャラリーでSUPER FLAT展。入場料を払っていざ視線を会場内に向けると、どこから見たらいいのかわからないほどマテリアルが溢れ返った空間です。そして会場内を歩き始めてすぐに気になってきたのは、「スーパーフラット」という概念に必ずしもそぐわない作品が多い、というかむしろ関係ない作品の方が多いのではないかという違和感でした。しかし村上隆は日本の文化状況をスーパーフラットと定義した上で、そこから彼の考える日本のオリジナリティーを持つアーティストを選出したようで、そのため展示された作品は必ずしも狭義のスーパーフラット的要素を持っていないようです。だからこそ、個々の作品は見たことがあるものが多くても、床から天井近くまで展示された作品群の混沌とした配置そのものに、会場に身を置いた僕は最も視覚的なインパクトを受けのでしょう。村上隆が以前から語ってきた日本のアートを取り巻くマーケットの構造的欠陥に対抗するための「興行」としては、たしかに楽しめるものでした。

 惜しむらくは、そういう概念を語る村上隆自身の言葉は極めて意味がわかりづらいことです。けれど今回のイベントに合わせて発売された「SUPER FLAT」ビジュアルブックでは、日本美術の伝統を受け継ぐものとしてスーパーフラットの概念が解説され、マンガやアニメなどのサブカルチャー作品と日本美術との対比などもあるので、展示を見て消化不良気味だった気分を解消するには有効でした。そして青島千穂は村上隆以上にスパーフラットの概念に近いのではないかと思われてきたのですが、出力のための巨大プリンタを提供するCanonの文字が彼女の展示の紹介文にあったことを思い出し、そこにも村上隆の戦略がしっかりと存在していることを再確認したのです。

 
523日 (tue)

 午前中に表参道で用事があったので、その足で枡野浩一さんが出演する「スタジオパークからこんにちは」を観覧するためNHKへ。テルヤスさん・梅本さん・有馬さんと一緒に観覧、テレビで見る印象よりスタジオは狭くて、カメラやスタッフの慌しい動きの方が興味深い生放送でした。今日のゲストはクロード・チアリの娘のクリステル・チアリという人で、まさに午後のトーク番組的な雰囲気に眠気が襲ってきましたが、不意にカメラにそんな様子を写されてはたまらないので目を開こうと必死の努力です。そして放送開始1時間後にやっと枡野さんが登場、短歌の紹介と講評の合間に自著の宣伝を忘れません。土佐有明さんの短歌が紹介されたほか、2週続けての選出となった加藤千恵の名前が何度も放送で流れていて、まだ16歳の千恵への教育的影響が心配になるほどでした。

 放送中に来たイワキリさんを交えて、終了後にみんなでお茶会。話題にしようとするテーマについてコピーを持ってきて配布する枡野さんはさすがだと思いました。

 昨日書き忘れましたがOUTDEX更新してます。SLAPP HAPPYのライヴリポートを「MUSIC」に。

 
522日 (mon)

 モーニング娘。が贈るヤンキー結婚報告ソング「ハッピーサマーウェディング」のビデオクリップ、よく出来てますねぇ。11人もメンバーがいたんじゃ常人なら編集途中で発狂しそうですが、うまい具合に新メンバーの紹介もしています。新メンバーの表情の硬さというか弾け方の弱さが初々しいですな。市井紗耶香がもうちょい映ってもいいのに去りゆく者にはスポットを当てない気なのかとか、安倍なつみの衣装は腹の露出を抑えるように考慮されてるよなぁとか、いろいろと現実の厳しさについても考えさせてくれます。

 つんくのコメントにも「音楽的には、大きなアジア大陸を感じさせるメロディラインとアレンジ」とあるこの楽曲で驚かされるのは、思いつく箇所全部に入れたかのような合いの手の多さです。カラオケで盛り上がるための機能性を重視していると想像されますが、繰り返される「パラッパラ」という口三味線や、歌における露骨なまでのアクセントの付け方など、ここまでベタな歌謡性が前面に押し出されているのは衝撃的ですらあります。あからさまに日本的な要素を詰め込んだこんな音楽が、若者を相手に大ヒットしてるんですよ、素晴らしいじゃないですか。この楽曲に対抗できる曲を作れるのはソウルフラワーユニオンしかいないよ、というのは冗談半分、本気半分。

 「ピンチランナー」、早く観たいなぁ。

 
521日 (sun)

 加藤千晶の新作「ライラックアパート 一〇三」は、その素晴しさゆえに人にプレゼントしたくなるようなアルバムです。97年作「ドロップ横丁」は打ち込みの硬いリズムに違和感がありましたが、「ライラックアパート 一〇三」はアコースティック主体でかなりナチュラルに。切ない詞とメロディーの「虹」のバックでエレクトロな音が細かく鳴るなど、より楽曲の情感を引きたてる工夫が施されたサウンドになっています。プロデュースは鳥羽修と鈴木博文。暮らしの中の楽しい出来事も悲しい出来事も等しく愛しているかのような歌詞は、淋しさを静め嬉しさを膨らましてくれそうで、その歌詞の世界は高野文子のマンガの世界とも重なっているような気がするのです。


 
520日 (sat)

 犬上すくねの2週連続リリース第2弾は「未来の恋人たち」。同人誌と商業誌に掲載された作品が半分ずつを占める厚めの短編集で、なんとエヴァのパロディーまで収録されています。

 「恋愛ディストーション」は恋愛が始まってからの心理描写に重点を置いているとするなら、「未来の恋人たち」には恋をする理由そのものを問うような作品が多く収録されていて、それを気恥ずかしさを乗り越えて表現しているのが魅力です。邪悪なネタ混じりに暴走するコメディー「橘くんオーバードライブ!」など、作品のバラエティーも豊か。そうそう、制服少女の出てくる話が多いので、萌えても知りません。

 そして喜ぶベきは、犬上すくねの同人誌での最高傑作「My Little World」が収録されていることです。かつて友人のカップルと仲良くしていた女の子が片想いをしていたのは、実は同じ女の子の方にだった…という物語は、同性愛という次元を超えて過去の失恋を受け入れていく爽やかなラストを迎えます。優しいけれど静かで醒めたトーンは犬上すくねの作品における大きな魅力で、それは地球滅亡を前にした恋人たちの他愛ない日常を描いた「3丁目の夏'99」にも表れています。

 ちなみに13作品中、「3丁目の夏」「未来の恋人たち」「Telephone Girl」「My Little World」「夜の煙突」の5作品のタイトルはカーネーションの曲名からの引用。さすがライヴで毎回最前列にいるだけのことはありますな!

 
519日 (fri)

 今日発売された「MUSIC MAGAZINE」6月号で新居昭乃さんのインタビューをしています。

 宅急便で正方形の箱が届いたので何かと思ったら、細野晴臣の「HOSONO BOX 1969-2000」の特典であるアナログ盤が当たったのでした。「Wizzzzzardly Tour of HOSONO BOX 1969-2000」と題されたこの10インチ盤には、エディットが施されたものも含め9曲が収録されています。ジャケットは、「HOSONO BOX 1969-2000」の新聞広告にも使われていた細野晴臣自身のイラストですね。

 細野といえば、6月15日にはディヴィッド・トゥープとのトークイベントがあるそうです。司会はピーター・バラカン。普通のライヴはやらないのかなぁ。

 
518日 (thu)

 鈴木博文というミュージシャンの音楽は、その時々の僕の心象風景と分かち難く結びついてしまっていて、楽曲によっては平静に聴くことができません。その彼が渋谷クアトロでしたライブは、これまでの彼の歴史をたどっていくかのように懐かしい曲が次々と披露されたのだからたまりません。「Fence」で始まり、「どん底人生」も沁みまくったし、なかでも淡々とした歌とリズムからギターの轟音が鳴り響く状態へと展開した「朝焼けに燃えて」は前半のハイライトでした。後半は最新作「Birds」からの曲が中心で、「果てしないようで 限りある未来」という歌詞が突き刺さる「Red Moon Trip」にまた胸を揺さぶられたのです。

 バックを務めたThe Great Skiffle Autreyは、青山陽一・西村哲也・青木孝明・伊藤隆博・川口義之・夏秋文尚という布陣。今日のライヴは録音&録画されていたそうですが、練習不足のせいか聴いていてヒヤッとする場面もありました。それでもロックの旨味と渋味を濃縮したような鈴木博文の音楽は、他者との隔絶を認識しながらも嘆くこともなく受け入れるかのような歌詞とあわせてその魅力を輝かせていたのです。

 
517日 (wed)

 XTCの「Wasp Star」は、オーケストラを導入した昨年の「Apple Venus Volume 1」に続くエレクトリック編。いつものXTCですが、期待していたような「Oranges & Lemons」ぐらいのテンションはなくて、もうちょっと角が丸い「Nonsuch」の感触に近いです。でも高まり過ぎていた期待がおさまっていくにつれて好きになるのは確実だと感じさせられるのは、ポップスとしての骨格がとてもしっかりしているから。つまりキャッチーにしてハイクオリティなわけで、「いつものXTC」が悪かろうはずもないのです。

 STEREOLABの「THE FIRST OF THE MICROBE HUNTERS」は、いきなり9分間に渡って疾走していく冒頭のナンバーが最高。ひとつひとつの音が強く主張しながら全体として見事に均整がとれた音世界の構築美にも眩暈がしそうです。リズム面でも相変わらず実験を繰り返していて、そして驚くほど躍動的でした。

 SONIC YOUTHの「nyc ghosts & flowers」はJim O'rourkeが共同プロデュース。澱んだ音の渦からビートが激しく湧きあがる瞬間のスリルに痺れます。揺らぐような音にも不協和音すれすれの緊張感があり、弛緩することなく鳴り続ける音に縛りつけられるようでした。

 
516日 (tue)

 世界は男の涙で出来た海に浮かぶ一枚の木の葉だ! という話はともかく、キツキさん・「ガロ」の白井さんと渋谷で飲みでした。「ガロ」の感想をいつも好き勝手に書いてしまっていますが、津野裕子への愛では誰にも負けませんので見逃してください…なんてを言うまでもなく白井さんは話の分かる方でした、命拾いです。

 TINAMIX5月16日号更新しました。今回もギャルゲー関連記事がメイン。そして今号をもって東浩紀さん砂さんの名は「責任編集」の項から消え、残された者たちは羅針盤を失ったまま霧の中を進むような航海を始めるのです…。

 
515日 (mon)

 「レコード・コレクターズ」6月号はジャーマン・ロック特集で大変ですよ、師匠! もうひとつの特集であるPREFAB SPROUTの記事では、Paddy McAloonが髭を伸ばし眼鏡をかけてジジイのようになっているので、一瞬誰かと思いました。そして広告ページには加賀美ふみをさんのイラストが。レコード屋ばかり集まったオンライン上の商店街のようなmusic.tokyo-city.co.jpというサイトの広告なんですが、このサイトはピーター・バラカン、赤岩和美、石川真一、中山義雄、田口史人などがコラムを連載していてこれから面白くなりそうです。

 OUTDEX更新、先日放映された松本隆の特番の感想を「MUSIC」に追加し、「small circle of friends」にはspecializedを加えました。

 あと、ヒライワさんのご好意で西海岸サーバにアカウントをいただきました。西海岸とは、皆で「ヨ!」という語尾を使いながらIRCを楽しむクリエーター集団、だと思いますが認識間違っているかも。西海岸アウトデックスでも何かしたいと企画を考えている次第です。

 
514日 (sun)

 結成28年目にして初来日のSLAPP HAPPYを見るため吉祥寺Star Pine's Cafeへ。このライヴハウスには2年半ぶりぐらいに行ったのですが、ステージは低くて見にくいし客の大部分は立ち見を余儀なくされるしで、今日のように身動きできないほど満員になるような日には苛酷な会場です。

 オープニングはALTERD STATES+菊地成孔。「Plays Standards」と題された通りスタンダード・ナンバーを演奏したはずですが、僕がジャズに詳しいとは言えないのに加え、演奏がまたクスリでラリったかのようなアレンジで展開されたので原曲がよく分かりません。しかし彼らの場合、単に奇をてらったかのようなアヴァンギャルドではなく、恐ろしく優れたテクニックを持ちつつ同時に音を鳴らす快楽を追求するかのような緊張感の溢れた演奏で突っ走るので、文句無しのかっこよさ。痙攣してのたうちまわるかのような音が続けざまに襲ってくる変態っぷりはあくまでもクールなのです。

 そしてSLAPP HAPPYは、セッティングの終わり頃からAnthony MooreとPeter Blegvadがもったいつけることもなく姿を現しました。しばらく波ような音が流され、やがてDagmar Krauseも登場。ずいぶんと仕草が可愛らしい人ですが、歌うとなるとあの優しくも凛とした声に聴き手は包まれるわけです。演奏は完全に3人のみによるもので、デビュー作「Sort of」から最新作「Ca Va」までの曲が披露されるサービスぶりでした。ただ、長年のファンとの交流を楽しむような和やかなステージは、有無を言わせず引き込んでしまうようなエネルギーには欠けていて、2時間近いステージが時に長く感じられたことも事実です。それは僕が最初に「Ca Va」で彼らと出会い、その張りつめた美しさに魅了されたためでもあるのでしょう。「Casablanca Moon」のイントロに興奮し、「Scarred for Life」のメロディーの美しさに陶酔するような瞬間は、それでも度々訪れてくれました。

 
513日 (sat)

 横浜の山手ゲーテ座でSWAYのライヴ。会場は、外人墓地の近くの岩崎ミュージアムという博物館の中のホールです。メンバーの二人は体調が万全ではなかったと語っていましたが、客席にいた僕は全くそんなことに気付かず声の伸びの良さやハーモニーに聞きほれてました。ピアノ・マリンバ・パーカッション・ギターというアコースティックな編成で、実に丸2時間。「Myself」や「ほろ馬車」といった懐かしくも今聞いても胸かきむしる名曲を聞けて嬉しかったです。


 
512日 (fri)

 俺とサーバピクニック・サーバがサーバを借りているPROXが14日にサービスを一時停止するそうです。そのためあなたがこの日記を読む頃にはOUTDEXの音楽・マンガ・カレンダーなどのコンテンツはもちろん、この界隈の多くのページが見られなくなっているかもしれません。日曜日だし諦めて外で遊んでください。詳しくはこちらを。

 犬上すくねの「恋愛ディストーション」第1巻は、気恥ずかしさが麻薬のように作用する怒涛のラブラブ・アタックが大炸裂。萌え心をくすぐる女性キャラも罠のようだ! エッチな雰囲気を醸し出しながらも乳首が描かれているのが2コマのみだというのは驚くべき事実。

 
511日 (thu)

 注目していた渋谷系WEBマガジン・S@S Tokyoが終了。注目と言っても存在を知ったのは最近だったんですけどね。スタートは98年のようなので、この手のWEBマガジンとしては続いた方かもしれません。音楽記事が面白そうなので、しばらくは残されたバックナンバーを読むことにします。

 「ガロ」6月号の特集は「ねこぢる10周年」。ねこぢるyではないオリジナルねこぢる(という表現も変ですが)の死についてはほとんど言及されていないのですね…。津野裕子はいつものことながら素晴らし過ぎ。「シトリン シトロン」は、柑橘類と黄水晶を話の軸にした透き通ったファンタジー。こぼした涙の分だけ女の子は恋を思い出にして終えてしまうのですか、切ないぜ。キクチヒロノリは相変わらずのテンション、逆柱いみりは異様な世界にちょっと人情味が。

 
510日 (wed)

 「いつまで続くのだろう」という不安も抱えつつ、ピクニック・カレンダーは順調に増殖しています。26日に行きたいイベントが重なっちゃったな、どうしよう。

 7日深夜にNHKで放送されたものの自分のイベントで見られなかった「風をあつめて〜作詞家・松本隆、日本ポップス史を彩る30年の軌跡〜」のビデオをやっと見ました。遅い。昨年行なわれたライヴ「風街ミーティング」の映像が中心かと思ったら、松田聖子(落涙パフォーマンスあり)・アグネスチャン・太田裕美・原田真二・山下久美子・南佳孝などをスタジオに呼んで歌わせるなど、松本隆の作品を聞かせながら彼の歴史を追うためしっかり構成された番組でした。しかもバックの演奏はkyonなどTHE HOBO KING BANDのメンツが中心。CCBまで登場していて、田口がいない代わりに脱退したはずの関口がいるのが不思議でした。でも、演奏も歌もレコードを流しているだけなのは勘弁してほしかったな。

 去年松本隆が一気に再評価された時には、彼の歌謡曲仕事ってそんなにいいかなぁと納得の行かない部分もありました。特に曲名にも流用されるサビのフレーズになじめないことが多かったので。でもそれは裏返せば、僕がはっぴいえんど時代の彼の作品を好き過ぎだったからかもしれません。歌謡曲仕事は量産されている分薄い部分もあるけれど、番組で流された曲の中には鋭い描写の歌詞がいくつもあったし。あー吉田拓郎の「外は白い雪の夜」は買ってしまいそうです。なにより、イノベーターとしての存在はやっぱりでかいと再確認。

 最後に流れた「風街ミーティング」の映像で、松本隆・細野晴臣・鈴木茂などに囲まれて少年のように見える中村一義が「風をあつめて」を歌っていたのは、はっぴいえんどの作品が若者に継承されていくことを端的に象徴しているように感じられました。

 
59日 (tue)

 枡野浩一さんがNHKの「スタジオパークからこんにちは」に出演するというので、久しぶりに昼番組なんぞ見てしまいました。番組の冒頭で司会が和服で登場したり他の出演者の話し方が芝居がかっていたりするのを気恥ずかしく思っていたら、枡野さんはいきなりキックボードでスタジオに登場。短歌の古いイメージを打破するためならやんちゃな真似も辞さないわけですね。千恵の短歌が添削されたり、カメラが客席を写した時にバッチリ有馬さんの姿が映ったりと、本筋とは関係ないところにも見所が。そして、自分の短歌について「素晴らしい短歌ですね」とコメントする枡野さんはさすがの俺節全開でした。


 
58日 (mon)

 書き忘れていましたが、6日のジェントル5の最後のDJバトルで僕が流した曲は、川菜翠&麻績村まゆ子の「ドリルでルンルン クルルンルン」です。

 5日のコミティアで購入した本を一気読み。きづきあきらさん(GRAIL)が出した再録本は、ここぞとばかりにOUTDEXでも紹介したいと思います。ゴールデン・ウィークに遊び疲れて、今週は更新できませんでしたが。山川直人さんの「コートと青空」は、「コミックアルファ」掲載作を集めたもの。雑誌掲載時にはいまひとつテンションが上がり切っていない印象を受けましたが、まとめて読むとその感じ方は間違っていたことに気付きます。これは読後に滲んでくるような味わいを楽しむべき作品なんですな。志賀彰さん(梟亭)の「リンカク」は、恋を忘れていく自分を語るモノローグが爆涙モノ。男泣きだよ勘弁してくれと言いながら読み返します。南研一さん(PARKING?)は「GARDENERS」について謙遜していたけれど、このSF/ファンタジー的な世界はとても美しいです。檜木倭世さん(あまちゃづる三昧)の「universe」は、肉体の乾きから恋に気付くまでの心理描写がとても爽やか。吉本松明さん(みるく☆きゃらめる)による評論「やまむらはじめ『未来のゆくえ』を読む」と「かわかみじゅんこ『ワレワレハ』を読む」はマンガの構造とその文法に着目して丁寧に分析する姿勢に刺激されました。それにしても、梧桐風子さん(レモナード)が同人誌活動を停止するという話はあまりにもショックで。

 
57日 (sun)

 抽選でハーゲンダッツのアイスを大量に当てたという連絡を受け、夕方の渋谷に急行。有馬さんイワキリさん・梅本さん・じゅんこという今朝まで一緒だったメンツと、今度は渋谷の公園のすべり台で流しアイスをして豪遊気分です。

 それを食い尽くしたところで、八二一さんの写真展「君のニャは、2000」を見るため表参道のプロモ・アルテへ。写真における構図や猫と風景の配置により猫の存在感を浮きあがらせているのはもちろんのこと、人に媚びているわけでもないのに猫たちが見せる豊かな表情を捉えていて、猫と暮らしたこともなければ見つめ合ったこともほとんどない僕みたいな人間はその表情の豊さに驚かされました。気紛れな相手を被写体にしてこれだけの作品を生み出すのがさぞや大変なのは想像に難しくなく、愛がなきゃできない作業だなぁと思わされたほどです。

 同じ会場に展示されていた「夜想」と題された一連の作品は、歩道のアルファルトや路石を濡らす水や油がネオンの光を反射して放つ、鮮やかにして毒々しくもある色合いを追ったもの。質感のクールさや無機物を被写体にしている点は「君のニャは、」と対照的でした。

 会場を出てから青山ブックセンターで買い物をしていたら、そこに今日の写真展を終えた八二一さんが来て再会したので、皆で一緒に食事ということに。

 
56日 (sat)

 東京紳士ジェントル5に来てくれた皆さん、本当にありがとうございました。幸せでした。来られなかった人も気に掛けてくらたならそれでいいです、ありがとう。

 今回は初のオールナイト開催だったものの盛況で安心しました。オールナイト慣れしていないお客さんたちには苛酷な思いをさせちゃったし、おまけに当のDJたちも体力的・精神的な限界に直面させられてしまいましたけどね。僕も連日の睡眠不足がたたって2回目の出番ではヘロヘロでしたが、もう最後の方では疲労とか眠気を越えた根拠無き多幸感に包まれだして、それはそれで危険な状態でした。

 夜も明け始めた頃のDJバトルでは、お客さんを交えて盛り上がれたので嬉しかったです。なんなんだよ、杉良太郎3連発って! DJのもお疲れさまでした。またやりましょう。

SET 1「男泣きトゥナイト」
1FABRIZIO DE ANDRECREUZA DE MA
2ELVIS COSTELLOYOU TRIPPED AT EVERY STEP
3VAN MORRISONBE THOU MY VISION
4TODD RUNDGRENCAN WE STILL BE FRIENDS
5オフコースもう歌は作れない
6PREFAB SPROUTWE LET THE STARS GO
7EELSPACKING BLANKETS
8RON SEXSMITHSECRET HEART
9くるり春風
SET 2「イスラム・ア・ゴー・ゴー」
1RACHID TAHACONFIANCE
2DISSIDENTENRADIO ARABIA
3RIMITTINGHANI KI MA NABGHI
4KHALEDEL BAB
5HASSAN HAKMOUN AND ZAHARBANIA
6ORCHESTRE NATIONAL DE BARBESSAVON
7NUSRAT FATEH ALI KHANALI DA MALANG

 1回目は男泣かせな名曲の数々を過度の感情移入をしながらDJしたところ、「ムネカタさんには音楽が何か違う聞こえ方をしているのでは」と言われてしまいました。たぶんその通りです。2回目はマニュエラカフェという会場のなんでもありな性格を活かして、ここぞとばかりにアラブ系の音楽を流しまくってみました。

 そうそう、今回のイベントにも遊びに来てくれたOGAIさんハツミちゃんがオーガナイズするイベントTravelin'by Magic Carpetが7月8日にあるそうですよ。もちろん僕も遊びに行きます。

 
55日 (fri)

 有明ビッグサイトでコミティア52。2月のコミティアはカタログまで購入しておきながら前日のイベントで疲れて行けないという有り様だったので、今回は気合いを入れてその分まで買ってきました。コピー誌で持っている作品でもオフセットの再録本を買う、コピー誌で300円は高い上に紙面がえらく白いじゃんと思っても買う、合同誌で好きな作家のページ数が少なくても買う。そんな調子で25冊を持ち帰ることになりました。会場であった皆さん、本をくださった方、ありがとうございました。特に鳥取からいらしていた塒丸餅さんにやっとお会いできて嬉しかったです。

 夜にはしばたさん主催のマンガ読み結集飲み会や、土佐有明さん主催のライヴイベントがあったけど、明日の東京紳士ジェントル5の準備のためグッと我慢して早めに帰宅。がんばります。

 
54日 (thu)

 「COMIC CUE」編集長の堅田さんと中野で飲み。堅田さんのお話を聞いているうちに、江口寿史が編集長を降りた後も「COMIC CUE」は存続しているのだから、いろいろ起きているTINAMIXもまだ運営していけるのではないかというほのかな希望が…。(参照:azuma on the webTINAMIXへの参加及び"裏"日本工業新聞!!の5月2日分)

 ちなみに堅田さんは小山田圭吾に似ていると僕は思いましたが、堅田さんによれば僕はナンバーガールの向井秀徳に似ているそうです。まずはジャンパーを着て酒に強くならねば!

 
53日 (wed)

 ウガニクさんOGAIさんシバタさんトモコさんトモミチさんユウタくんと新宿で飲み。こんなメンツで集まったのにみんな幸せなのは奇妙な気さえしますが、ともかくなによりです。

 二次会はウガニクさんの家で朝まで。意外に片付いている部屋はもちろん、非常に機能的な分類がなされたエロ画像コレクションがマメな性格をうかがわせます。もちろんエロ同人誌もドバドバ現れるので、訪れたトモミチさんとユウタくんと僕がどうしょうもないオタクに戻るのに時間はかかりませんでした。「ぶっかけフェスティヴァル」も「鋼鉄天使くるみ」も見れたし、さすがマジモンの部屋は違うと思い知らされた次第です。

 
52日 (tue)

 まだまだ出てくるYMOの音源ですが、元メンバーが関わっているだけアルファ末期よりはマシというもの。高橋幸宏が選曲・監修をしたライヴ音源のベスト「ONE MORE YMO」もまんまと買わされてしまいました。彼のコメントの中でハッとさせられたのは、「YMOというのはライヴ・バンドだった」という一節。最近YMOのライヴ盤を聴き返すことがけっこうあったのですが、単に毎回アレンジが変わっているという次元を超えた、テクノのイメージを裏切るかのような肉体感のある演奏の魅力を感じていたので、高橋幸宏のこの言葉には納得させられました。肝心の内容の方は、未発表テイク5曲を収録しているもののそれ以外はすでに発表されているものばかりなわけで、録音日や演奏場所のデータをさして気にしない僕でも「ああこれ聴いたことあるや」というトラックがいくつか。でも「SEOUL MUSIC」や「TECHNOPOLIS」、特に美しくも緊張感溢れる「MASS」の演奏を聴いて買って損はなかったと思う次第です。まだ出るのかな、編集盤。


 
51日 (mon)

 TINAMIX5月1日号が更新されました。今回は村上隆さんと竹熊健太郎さんの連載に加えて、Leafの高橋龍也さんと原田宇陀児さんへのインタビューが掲載されています。

 玉置勉強の新刊はその名も「セックス2000」。久しぶりに一水社からです。話の筋はわりとシンプルだけど、ハッピーな雰囲気で終わるものは少なくて、多くの作品で描かれるセックスは虚しさと背中合わせ。そして玉置勉強の絵はエロティックでもあり露悪的でもあり、物語の印象をより強めます。あと、白い汁(精液ではない)に対するこだわり(?)もうかがえました。

 OUTDEX更新、「COMIC CUE」Volume8と「MANGA EROTICS」2000年春号を「COMIC」に追加しました。

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