Vol.7 2000



「COMIC CUE」Volume8 (イースト・プレス)
 「All we need is "LOVE"」、それが「COMIC CUE」Volume8のテーマ。 高野文子の「sewing」では、裁縫をしながら心は布地の上で裁縫道具たちと遊ぶ主人公が描かれていて、現実とイメージの境界のなめらかさが素敵だ。この服は、好きな人と会うために作っているのかな? 妻との固い絆で結ばれた愛に満ちているのは、吉田戦車の「F1」。F1って知らないんだがこういうものだと覚えておこう。

 今回の「COMIC CUE」で一番読み応えがあったのは、黒田硫黄の「象の股旅」。内乱で村を失い、ふとしたことで将軍に象を見せるためベトナムから江戸へ旅することになった義理の父娘を描いたこの作品は、黒田硫黄らしいスケールの大きさだ。そして同時に生のはかなさが漂い、一本の映画を見ているかのようだった。

 貞本義行×たかはしまこ夫妻の「System of Romance」では、貞本義行が描く乳に気をとられるのはともかく、「ラブ&ポップ」を連想してしまう自分が悲しい。小原慎司の「GP異聞」はラスト1ページの締め方がいいな。しりあがり寿の「ネックレス」には「鬼かよ!」と思うほどのラストが待っていたけれど、最近の彼の作品の切れの鋭さを改めて感じさせられた。地下沢中也と水野純子の連載はともに話がさらに深くなり、特に地下沢中也の「兆-Sign-」は科学の行く末に待つ未来を予感させる不穏なラストが次回を期待させられる。

 藤井リエの「8MINUTES」は、ラスト5ページのモノローグがあまりにも名文で、激しく胸を揺さぶられてしまった。

(MAY/01/00)



「MANGA EROTICS」2000年春号 (太田出版)
 町田ひらくの「少女法」では、娘をロリコンビデオに出演させた父親が、忌まわしい思い出が記録されたビデオをビデオデッキごと捨てようとするものの、粗大ゴミなので清掃車に運んでもらえないラストに無情感が漂う。フェティッシュな行為を淡々と描くのは、安田弘之の「紺野さんと遊ぼう」。山口綾子の「リングに散る花吹雪」は、因縁深い女二人の小学生時代の関係を描くことによって、子供の持つダークな面を読者に突きつけてくる。この生々しさは不快さと紙一重の快感だ。やまだないとの「ムスカリ」は、「人生が長すぎていやだ」というセリフが泣ける。本当にいやだよ。駕籠真太郎の「大酔狂」は、彼にしてはグロは控えめで、徹底した計算に基づくギャグ。少女にペニスがあってしかもそれに靴下を着用している世界を描いた砂の「SOX」は、冒頭3コマで読み手をノックダウンさせる勢いだ。途中の2ページに突然挿入される解説男の微妙な間もいい。橋本マモルの「汚れちまった×××に…」は、恋愛の意味を見失った状態から始まる恋物語。とても爽やかだった。
(MAY/01/00)