Vol.4 1997-98



「ガロ」98年1月号 (青林堂)
 休刊がこれほど騒がれた雑誌も珍しかった。三大紙すべてに記事が載るわ、いくつもの雑誌で憶測が飛び交うわ、出版業界に走った衝撃をこんなに一般向けの紙面&誌面に出してもいいの?ってぐらいだった。高校時代からもう8年ほど読み続けている僕でさえ、「本当に皆そんなにガロを読んでたの?」なんて疑問が湧いてしまったほど。ガロが抱えていた(抱えさせられていた?)「カウンターカルチャー」という看板の重さを改めて感じてしまった。

 そんな騒動も一段落した頃、書店で目に飛び込んできた復刊「ガロ」の表紙は、今やメジャーになった唐沢なをきによるポップなものだった。

 アタマはなんと松本充代の新作。少し前に原作付きの育児マンガを描いてて、「あー彼女も丸くなったんだなぁ」なんて思っていたのだが、この新作は見事に尖っている。津野裕子の新作も、相変わらず硬質な透明感に満ちていて感激。キクチヒロノリの狂ったテンションもグッド。

 なんでこのマンガがガロに?なんて部分もあるけれど、それも新体制ガロの編集方針なのだろう。たしかに、つげ忠男と永野のりこやあさりよしとおが一緒に載ってる雑誌なんて「ガロ」だけだしね。なにより、企画が練られてもいない特集が大きな顔をしているのではなく、マンガ雑誌としてとても面白いことが嬉しかった。

(JAN/14/98)



「COMIC CUE」VOL.4 (イーストプレス)
 今回の「COMIC CUE」は合作特集。とり・みき×京極夏彦、鈴木慶一×やまだないと、俵万智×和田ラヂヲなどの顔合わせからして楽しめる。表面的な異化効果に頼った作品もあるので完成度にはバラつきがあるけれど、けっこうどれも楽しめる。

 荒俣宏との合作ということになっているけれど、実質的には古屋兎丸のオリジナル作品である「裸体の起源」は、テーマの大きさと画力に圧倒された。貞本義行×たかはまこ夫妻の「DIRTY WORK」の乾いた味わいも好きだ。また、地下沢中也×榎本俊二による「われら動物家族」の底無しにブラックな味わい、飴屋法水×水野純子による「モモンゴの一生」のポップさが生み出すダークさも新鮮だった。

 ところでこの本では、久住昌之が、新人を含め3人の作家と合作をしているんだけれど、そんなに彼って面白いかな?ストライクゾーンを意識的にはずしているようで、逆にウケ狙いが透けて見えるような気がするんだけど。まぁ、趣味の問題なんだろうけどね。

(JAN/14/98)



「CUTIE COMIC」 VOL.1 (宝島社)
 岡崎京子の傑作「リバーズ・エッジ」の連載誌は「CUTIE」だった。ファッションのみならずマンガに関しても先鋭的な意識を持って取り組んでいるようなのだが、とうとうマンガだけの別冊も出てきた。やまだないと・南Q太・安野モヨコ・桜沢エリカ・多田由美など、登場する漫画家も新旧混合でかなり豪華。しかも、1冊通して見事に一本筋が通った雰囲気だ。

 小野塚カホリという作家の作品は初めて読んだのだが、本来は中絶されるはずの子供だった自分の存在を確認するため、姉の恋人に手を出すというディープな物語が印象的。新人の橋本ライカの素直な勢いに満ちた作風も心地いい。

 ちなみに読み物ページもあるのだが、中でも桝野浩一の「マスノ短歌教」は彼のひねた文章センスを満喫できるので、彼が気になる人は要チェックだ。

 それにしても、大久保ニューやら魚なんキリコやら、下の名前がカタカナの作家が11人中6人も占めているのは、単なる偶然だろうとわかっていても妙だ。流行りなのか?

(FEB/12/98)