Vol.2 1997-98



「relax」98年10月号 (マガジンハウス)
 健康雑誌かなんかだと思ってたんだが、青山ブックセンターで手にしたらgroovisionsの特集が載ってるじゃないか。即ゲット。The High LlamasのSean O'Haganのインタビューや、アル・ヤンコヴィックの記事なんかもあって、サブカル度高し、でも鼻につかない程度に洗練された誌面だ。1ページ丸ごとバーンと写真で見せたり、細かく文字を詰めたりの両極端さも面白い。適度におちゃらけた雰囲気もある。在りし日の「03」が頭をかすめるなぁ。

 もっとも、けっこうファッション関係の記事もあって、DA PUMPまで登場してる。でも、ここで紹介されてるファッションは、残念ながら僕にとっては実用的じゃない。生き残りを目指すのなら、結局はこういう記事が増えていきそうな予感もするけど、なんとか今の路線を続けて欲しいところだ。

(OCT/05/98)



「PURE GIRL」98年6月号 (ジャパン・ミックス)
 タイトルには「美少女マガジン」とあるけれど、要はエロゲー雑誌。僕はエロゲーどころかゲーム自体をほとんどやったことがなくて、唯一したゲームが「鋼鉄のガールフレンド」という始末なんだけれど、オタク文化圏の必修事項という気がして足を突っ込んでみることにした。なんか独特の文化がありそうで。

 ファミコンすらやったことがないゲーム文化圏からほど遠いところで生きてきた僕には、この雑誌はなかなかのカルチャーショックだ。内容はゲームのレヴュー中心なのだが、エロゲー画像満載でこっちがビビってしまう。ゲームに対する批評色は薄いが、オタク文化についてのコラムは業が深そうで、自分の知らない世界が広がってるんだと妙に納得。

そんなわけで、絵柄と病的な雰囲気が気に入った「雪色のカルテ」でもやってみるかという気になったんだが、どこで売ってるのかもわからなかったりするから困った話だ。

(JUN/06/98)



「新潮45」98年3月号 (新潮社)
 1月に3人を殺傷する事件を起こした19歳の男の実名と顔写真を掲載した「新潮45」3月号もやはり買ってしまった。「フォーカス」が酒鬼薔薇の顔写真を掲載したり、「文芸春秋」が同じく酒鬼薔薇の供述調書を掲載したりと、最近は反少年法的な雑誌記事が次々と出てきている印象だ。このなし崩し的に進んで行く感じ、どこかで覚えが…と思ったらヘアヌード解禁時の状況。でもそれと少年法じゃ全然次元が違いますな。

 そして高山文彦による問題のルポだが、これがかなり読み応えがある。16ページに渡って犯人の家庭状況を中心にレポートしているのだが、家庭と呼ぶにはあまりにも陰惨な家庭であることに驚かされる。4人兄弟は全員父親が違い、母親はしょっちゅう雲隠れ、シンナーに走る犯人を育ての親である祖父母も止めようとしていたらしいのだが、本気だったのかがどうも疑わしい。一読すれば起きるべくして起きた事件だということがよく分かる。悔やむべきは、もう手に負えないと祖父母が孫を施設へ入れようとしたことがあったものの、いい加減な役所仕事のために実現しなかったということだ。この読ませるルポの前では、別に実名も顔写真も大した問題ではない気がしたのだが、やはりそうもいかないか。

 ところでこの「新潮45」は初めて読んだのだが、ビートたけし・柳美里・石堂淑朗と、ずいぶんと反民主主義色の強い文章が並んでいる。もちろん分かった上で芸風なのだろうが、なんか建設的というよりは反動的という印象を受けた。少年法見直しを謳うなら、それを真っ正面から仕掛ける記事も連載して欲しいところだ。

それにしても、柳美里の機関銃をぶっ放すかのような論理展開は面白いなぁ。

(MAR/04/98)



「文藝春秋」98年3月号 (文藝春秋)
 書店の店頭に山と積み上げられた「文藝春秋」三月号に、商売っ気を感じて一瞬嫌悪感を持ったが、それを買った僕も同罪だろう。この号の「文藝春秋」には、酒鬼薔薇少年の検察調書が約50ページに渡って掲載されていた。発売当日にそれを報じた読売新聞には、酒鬼薔薇に殺害された少女の母親の「被害者はどこまで突き落とされればいいのでしょうか」というコメントが紹介され胸を刺したが、酒鬼薔薇の異常な殺人衝動に対する疑問から結局「文藝春秋」を買ってしまった。

 問題の調書の前に掲載された「正常と異常の間」と題された文の中で立花隆は、酒鬼薔薇の精神鑑定の結果を聞いて「異常ならよかったのにと思った」と述べているが、この調書を読んだ後では僕も同じ思いを抱いてしまった。殺害にいたる経緯や殺害の方法、遺体の切断や処分の方法などが詳細に綴られているのだが、この冷徹な残酷さに満ちた文章は、被害者のご家族にとってはとても読むに堪えないものだろう。殺害対象を物としてしか認識しない感覚や、恐ろしいほどまでの罪悪感の無さ、そして捜査の撹乱を狙った計算高さなど、戦慄といった言葉では表しきれないものを感じる。酒鬼薔薇が作文に使った言葉を借りるなら、まさに「絶対零度の狂気」。一部には罪悪感を感じない自分への嫌悪(これもかなり特異な嫌悪の理由だ)も見せていて、立花隆はその点によってほんの少しでも好意を持つ人が出るかもしれないと述べているが…個人的にはそう受け止めるのは極めて困難と思われた。

 この調書が流出した経緯については問題があるだろうが、ともかくも事件の経緯と酒鬼薔薇の思考感覚の片鱗は窺い知ることができた。こうした資料はやはり公開されてしかるべきものだし、当然少年法も見直されるべきものだろう。もっとも、大多数の国民が持っているであろうこうした感情が法律に反映されることは現実問題として難しそうだし、そのあたりに国民の政治に対する無力感が増す原因があるのだが。

 読み終えた後では、ただ現実の重みを痛感するばかりだ。

(MAR/04/98)



「C-NET」76号 (C-NET)
 コスプレ・ダンパ情報誌「C-NET」は自主流通のようで、僕が入手したのは「まんがの森」でだった。この界隈の情報はなかなか外側の人間は入手できなくて、「コスプレ・ダンパってのはアンダーグラウンドな部類のイベントなのか?」という疑問すら湧いていたのだが、この雑誌を見たらあるわあるわ。全国のイベントが350件以上掲載されていて、我が目を疑うほどだ。

 そして目を引くのは、イベントやコスプレについての禁止・注意事項のコーナー。マスコミの取材には注意しろとか、コスプレをしても調子に乗り過ぎるなというような内容が、細かい字で2ページにわたって示されているのだ。この辺にイベント運営の苦労が忍ばれて、しみじみとさせられた。

 また広告ページには、コスプレ衣装の製作業者の広告も。こんな商売が、世間の知らないところで大きなマーケットになっていくのかもしれないなぁ。

 僕も一度現場を見てみたいのだけれど、入場者は全員コスプレをしないといけないというのがネック。衣装を作る財力と乗り込んでいく気力が無いんで、見果てぬ夢となりそうだ。実現しても問題があるけど。

(NOV/17/97)